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暖流のNのレビュー・感想・評価

暖流(1957年製作の映画)
4.3
映画のリメイクは元の作品を越えることができない、というのが定説となっていると思うのだが、名匠増村保造の手にかかってしまえばそんな説も覆ることとなる。特に大きな差分といえば、根上淳演じる日疋に片思いをし続ける看護師「石渡」のキャラクターだ。39年版はどこか陰湿でジメジメとした粘着質なキャラクターとして演じられているのだが、左幸子演じる57版では超絶お転婆で、そのわざとらしい笑顔や挙動からは狂気すら感じてしまう。だからこそあのブランコに乗りながら思いを吐露するシーンではグッとくるものがあるのかもしれない。いずれにしても本作品には無駄なシーンが一瞬たりともない。浪費家の長男がおちゃらけた歌を披露するシーンや、啓子の婚約者である笹島の不貞が発覚するシーン。若かりし頃の美輪明宏がシャンソンを歌うシーンなんてもう絶品。ちなみに39年版はYouTubeで鑑賞できます。
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