確かに評判良くなかったのも納得な中途半端な出来栄え
描きたいテーマはとてもフェミニズム的で、ミソジニーや女性蔑視への批判で、好きなテーマなんだけど、あんまりそれを上手に作品にまとめているという感じではないかなと思ってしまった。
言いたいことは分かるんだけど、勿体ぶりすぎというか、意外性も何もなく、こんなに時間かける内容?って思ってしまうライン
「ブラックミラー」の1エピソードでも良いようなボリューム感。
あと単純にこういうクラシカルポップな世界観を応用した恐怖演出、風刺演出も、ここ数年何度も色んな作品で見慣れてしまって、ありがちに思えてしまったのも不利な点だったかな。
オリビア・ワイルド監督自身が演じてた役は、女性陣の中でも自ら望んであの仮想現実に入ったタイプみたいだけど、ここでなら失った家族といられるからという理由で周りの女性を犠牲にしてしまうのは、「ワンダヴィジョン」のワンダみたいだなって思った。
最後の方で、ジェンマ・チャンが演じてたリーダーの妻も被害者ではなく、みんなを閉じ込めてる側っぽかったけど、あの人は結局どういう人だったんだろう。最後が思いの外、あとはまあ描かなくても良いよねスタイルだったから、気持ちよく終われなかったのも不評の一因な気が。普段、想像にお任せ系エンドは全然好きで受け入れられるタイプの人間なんだけど、今作の場合は、そういうの合わない映画じゃない?って思ったんだよね。
女性が理不尽に記憶も人生も意思も奪われて、それに気付いて自分を取り戻すっていうのなんだから、ちゃんと逃げ出してどうにか解放されましたみたいなとこまで見せないとって思った。SFスリラーの面がメインな作品なら良いけど、これってフェミニズム的な社会性の部分がメインな作品のはずで、そうなるとあんなぶつ切りで終わると、着地してない感が強まるよねって。
せっかく価値のある女性の解放の物語なのに、それが起点となる女性の困難と気づきまでで終わってしまうような、ここからが大切ってところをやってくれないスッキリしなさというか。
フェミニズム的テーマよりもSFスリラー的なジャンルの方を優先したような終わり方に感じたんだよね。これがうまくマッチするしく品もあるとは思うんだけど、個人的な感覚では今作には適していなかったかなと。