ゆうた

ドント・ウォーリー・ダーリンのゆうたのレビュー・感想・評価

4.0
面白かった。
話はよくあるディストピアもので、ようはネトゲの世界で結婚してます的なオチなので、ありがちといえばありがちだけど。
でもジャンル映画なんてそんなもんなのでそこはどうでもいい。
誰がどう見ても嘘くさく明らかに現代のアメリカではない世界に、嘘みたいなテンションでおつきあいしてる奥様連中、何の仕事をしてるのかまったくわからない夫たち。
きちんと舞台を整えた上で、さらにバレエのレッスン、時折り挿入されるバーレスクのような不気味なダンス、女性の叫び声のような不快な音と、盛り上げ要素も揃ってる。
下手に現実世界に戻った後を見せないのも良かった。
その代わりに、作中で断片的に映されていた女性たちの万華鏡のようなダンスがペギーリーの「Where or when」とともに流れる。
これがまた怖い。
Where or whenは
「初めてあったはずなのに、あなたとは以前こんな風におしゃべりした気がするの。あなたの服も笑顔も見覚えがあるの。私たちは以前もこんな風に愛しあった。でも、いつのどこでからしら?」
という本来はロマンチックな曲なのに、この映画を見てると180度意味が変わって、本当の記憶を閉じ込められたヒロインの分裂した精神と重なる。

監督のこと全然知らなかったんだけど、オリヴィアワイルドさんって、作中のバニーを演じてる方なんですね。
つまり自分が作った世界から抜け出す手伝いをしているわけで、ちょっとメタな視点も入ってる。
こういうのを見るたびに、偽りの夢であっても夢を見てるうちは幸せで、夢から覚めて現実を知るのとどっちがいいんだろうと思ってしまう。
ゆうた

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