「失われた青春」
ピエトロ・ジェルミ二作目の監督作。
強盗を繰り返す若い男の犯行を、犯人ステファノとその善良な姉ルイザの両方から描く。捜査の過程でルイザに近づいた刑事マルチェッロの間に生まれた淡い恋心と、ルイザの友達マリアの恋心を利用するステファノ。どちらも下心あってのものではある。
この若者の強行はどこから来るものなのか。戦後の貧しさや不安？主人公の家は父親が大学教授でそれなりの家に住んでいて生活は安定してる感じ。やはり若者のとらえどころのない反抗心なのか？ソシオパスの若い男の犯行という点で「赤い崖」「太陽がいっぱい」を先駆ける。大学内で悪事を企む様子。犯行後、素知らぬ顔で家族と飯を食べる様子。こんな男が弟では姉さんも大変だ。
ジェルミ監督一作目「証人」の荒削りなぎこちなさに対し、二作目の本作はだいぶ洗練されたようす。ネオ・レアリズモというほどでもなくて、内と外から描いたサスペンスな感じ。面白い。後の「刑事」に通じるジャンル。
ステファノ役は極々初期のジャック・セルナス。本作の成功でフランス人（リトアニア系）なのにイタリア映画ばっかりのフィルモグラフィーが始まるのね。ブロンドの美男ぶりがいかにも酷白そうで役に合う。あまり好みではないけど。
刑事はうひょー、マッシモ・ジロッティがスーパーハンサムで素敵。ジロ様。こんな２枚目はそうそう滅多なことでは近寄ってこないですよ。悪を追及する様子が同ジェルミ監督の次作「無法者の掟」に続く。
姉ルイザ役はカルラ・デル・ポッジョ。なんだかコリーン・グレイっぽい顔に見えると思って、ガールズネクストドアっぽいかも。だが見ているうちにどんどんジョーン・フォンテインっぽくなっていき、サスペンスと対峙していく。初期デ・シーカの名コメディ女優と思っていたけど、何でもこなせそう。コメディ女優ならではの逞しさも感じ、良い女優。

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失われた青春

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