ペコ

ザ・ホエールのペコのレビュー・感想・評価

ザ・ホエール(2022年製作の映画)
3.6
キノフィルムズの試写会にて鑑賞。「ハムナプトラ」シリーズのブレンダン・フレイザーが巨漢の男性を演じ、本年度アカデミー賞では見事に主演男優賞とメイク・ヘアスタイリング賞を受賞した本作。体重270キロの特殊メイクは凄い!恋人と暮らすために家族を捨てた男が自身の死期を悟り、疎遠になっていた娘との絆を取り戻そうとするお話。
2時間の上映時間の中で映されるのは主人公のチャーリーの家の中のみ。最期の5日間を彼がどう過ごすのか…。一見するとチャーリーは自分勝手な人間のように見えてしまう。けれどチャーリーも誰かを傷付けたいと思って生きてきたわけではない。チャーリー自身も苦悩であったり傷付きながら生きてきた。最期も5日間ですら、悩み苦しまなければならない彼の姿が切なかったです。でも最後に少しだけその巨漢が軽くなった気がして、彼は神に救われたのだと感じました。
正直に生きることも、嘘をついて生きることも、結局はどちらも生きづらいのかもしれない。誰も傷付けずに生きることなんて出来ないのかもしれない。どんなに酷いことをしてもされても、それでも大切な人を想う気持ちだけが変わらない。チャーリーと娘エリーの今の関係性を見て、そう思いました。エリーもずっと辛かっただろうな…
この作品は文学的な部分や、宗教的な部分も多少含まれているので、個人的には全てを理解するまでには至らなかったのが残念。小説「白鯨」を読んだ人であれば、この映画をもっと奥深くまで楽しめるでしょう。
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