このレビューはネタバレを含みます
主人公の肉体を過酷な状況に追い込む、アロノフスキー監督の主題の一貫性はここでも健在といった感じです。
主人公は特異な肉体であるが故に、アパートの一室から殆ど外に出ません。ですから、映画の大半が川島雄三の『しとやかな獣』のような室内劇として展開します。
玄関のすぐ横に曇ったガラス窓があり、そこを人影が通り過ぎることで訪問者の登場を予告するのですが、薄暗い部屋に閉じ籠もる主人公に何かしらの影響や変化をもたらすことになるその影が、画面を横切るたびにその行方を息を呑んで見つめてしまいました。