このレビューはネタバレを含みます
バラバラになった破片をかき集めて
残された日々でくっつけようとする
とある白鯨のお話。
ブレンダン・フレイザーがかつての冒険野郎のイメージからかけ離れ渾身の演技力を見せつける不器用で依存しながら生きている人物たちのドラマ。ある者は食べるという自傷行為を。ある者は大麻とSNSと嫌悪に。ある者は過去に。ある者は神に。ある者は酒に。最初から全てが壊れ切った状態で始まり治そうとしたらさらに砕けていく破滅の中でも必死に足掻きながら"正しいこと"を成し遂げようと葛藤する父親を中心にした一室を舞台にしたドラマの最高峰と言えるだろう。丁寧に撒かれていくドラマの種を綺麗に咲かせるような展開と全てが紐解き微かな輝きとなっていくクライマックスまでの美しさ。ドラマメインの作品で強い衝撃を受けたのは初めてだ。
力強く繊細。そして破滅的ながら希望のあるアカデミー賞ノミネート及び受賞が納得の美しいドラマはここにある。大必見だ
