リョーシ

ザ・ホエールのリョーシのレビュー・感想・評価

ザ・ホエール(2022年製作の映画)
4.4
登場人物はみんな孤独でダメな人たち。そして救いを求めると同時に、誰かを救いたいとも思ってる。その姿は醜くもあり美しくもある。だから、観てて苦しいし共感も覚える。同じくアロノフスキー監督の"レスラー"でミッキー・ロークが演じる主人公も落ちぶれたレスラーで、その姿と重なる部分も多い(ラストシーンなんか特に)。どちらの作品も決して明るい話ではないのに、最後には人間の素晴らしさすら感じる。アロノフスキーが描く人間は心を抉るようなリアリティを持ってる。ブレンダン・フレイザーの圧倒的な演技力もあって涙無しでは観られない名作でした。

また舞台は2016年のアイダホ州。時期は大統領選真っ只中で、テレビで流れるのは共和党のニュースばかり。この映画の登場人物も同性愛者だったり、アジア系だったり、トランプが排斥しようとしてきたマイノリティの人々であることを考えると、アロノフスキーの思惑を感じずにはいられない(パンフレットで右寄りのためにも左寄りのためにも作ってはいないとは言ってたけど)。
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