しい茸

ザ・ホエールのしい茸のレビュー・感想・評価

ザ・ホエール(2022年製作の映画)
3.7
2023-08

A24とは相性が悪い印象があったので身構えたが、結構良かった!
これは、親子の話ではなくて
1人の男性チャーリーの生きる意味についてあくまで本人の視点から描いたストーリーだと思う。














以下ネタバレ気味







私は、なぜ生きるのか。もしくは死ぬのか。
恋人がいなくなったから?
別れた妻との子どもと、絶縁状態にあるから?
自暴自棄な生活により、こんな姿になってしまったから?

彼の今の生き方については、この作品が一歩も自室から出ない(出られないのもある)ワンシチュエーションであり、
仕事でオンライン授業の講師をしているが生徒には姿すら明かさずにいることからもまざまざと描かれている。
270キロ超の さながら鯨のように大きな身体を、必要最低限だけ動かしながら、冬の海のような暗い暗い部屋で過ごしている。

だけど、娘と久しぶりに会うことになった時には一生懸命風呂に入ったり、金をちらつかせて彼女の心を繋ぎ止めたりしようとする。
娘をおいて出て行ったことは決して誰にも許されないが、彼は自分の死を間近に感じて、全てを許されたかったんだろう。
本当に自分本位なチャーリー。
娘との思い出である白鯨の詩を、いつまでもいつまでも話して聞かせ、最後には新たなストーリーを娘の口から聞くことができ、心の底からホッとしたんだろう。
ほんと、勝手な人だ!
だけど周りの人がみんな死ぬほど良い人だらけなので(みんな怒ってるけど)彼を救ってくれる。そして、どこか憎めないキャラクターを、ブレンダン・フレイザーがめちゃうまく演じている。

Monday って画面に表示された時点で、
あ、こいつは今週死ぬなと予感してしまうが最後の演出はちとダサかったかなあ…笑
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