さいろく

ザ・ホエールのさいろくのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・ホエール(2022年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

最後までずっとツラかった。
最後の最後、あのシーンは解釈は人によって違うかもしれないけど、芸術的な表現として受け止め、それによって少し救われたという感覚になった。

振り返ってみれば本当にあの体型だったと思えるぐらい演技が素晴らしかった。

声も表情も何もかもが鯨のような体格の主人公の存在になんの違和感もなかった。逆に言えばあのリビングのシーン以外のほとんどに違和感があったのかもしれないけど。

ネタバレせずに書くのが難しいのでやはりネタバレありにしておく。

以下ネタバレ注意。



・最初のバスで降りて畑を歩くシーン、あれはトーマスだったってことだよな
・娘のチクりが結果として彼を救った、やはりうちの娘はEVILなんかじゃない!という親ばかとも取れる解釈。自分がいざ天に召されんとしているところでそんな会話をしている時の彼の目の焦点の合わなさはリアルで切なかった
・ホエール=鯨が彼自身の事だと思っていたがまさかのモービーディック。読書感想文的な娘のソレを、離れ離れになってしまった父が過大評価してしまうところも、何もかも本当に考えれば考えるだけツラい。
・最後を迎えたあの瞬間に彼が「大好きな娘の朗読」の中で天に召されたことで”救われた”と解釈した。だがその解釈以外にもきっと色々な感じ方があると思う。考察も本気でしたら結構色々出てきそう。
・アメリカンカルチャーが身に染み付いていない我々(特に病院の費用の感覚は国民健康保険のありがたみを知らない日本人)には、「病院に行くことで何万ドルもかかる」ことも「聖書の一節にある」ことも「宗教が身近にある」こともあまりにも感覚が違うため、これを真っ直ぐには受け止められていない。そう思うと少し悔しい。
・ピザ屋のダンが顔を見て「ウソだろ」と言って去っていくのが幻滅して去っていったのだということはわかるのだが、「なんであの糞ピザ屋は彼に幻滅する=少しでも焦がれる感覚?を持っていたんだ?毎日ピザを頼んで死にそうな声を出してる奴に何を期待してたんだ?」というのが本当に疑問のまま残ってしまっている。ここの説明をしてくれる人いませんか・・・
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