けいすぃー

ザ・ホエールのけいすぃーのレビュー・感想・評価

ザ・ホエール(2022年製作の映画)
4.3
まず、主演をはじめ役者陣の演技が素晴らしい。チャーリーがなにかと「I’m sorry」という様子はまさに精神疾患を持つ気弱で優しい人だった。

※以下ネタバレを含みます

この物語はほとんどが狭いアパートの中で展開するが、飽きずに観続けられるようにするためにどれだけの工夫と技術が詰まっているか、全ては想像できないだろう。
画角の微妙な変化をつけて同じショットを作らないようにして、逆にクライマックスで再び現れた構図の力を強めたり、家具などの小物で新しい情報やチャリーの人となりを常に教えてくれた。

脚本の完成度も非常に高く、鯨というモチーフから、宗教、同性愛、親子、ライティングなどというテーマや対比構造がすべて上手く噛み合っていた。セリフにも過不足がなく、特に後に登場する母親の一言ひとことから彼女とチャーリー、彼女と娘の関係性がよく分かった。

あまり理解が出来なかった点が2つ。
ひとつはトーマスが最後チャーリーに会いに行くときに、あらためて同性愛が間違っていたというシーンだ。あそこは肉としての苦しみがあったが、精神では救われるという話で良かったのでは。
いまひとつは無論、最後の昇天するシーンだ。やりたいことは分かるが、あれは冷める。
けいすぃー

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