個人的には、主人公には感情移入できず、彼のアパートへの開入者達は、みんな身勝手でどこか悍ましい。
舞台劇が原作なだけあって、アパートの一室で繰り広げられる、重苦しく息詰まるような密室心理劇。
外は雨か曇りの陰鬱な天気で、アパートの室内は終始薄暗く澱んだ雰囲気は、暴飲暴食で信じられないくらい肥大化した主人公の絶望的な心象風景のよう。
さらに、次々と現れる宣教師、彼が棄てた娘、妻達によって、欺瞞、偽善、憎しみ、愛情、悔恨、想い出が彼を苛むのは、観ていて息苦しくなる。
深さは感じたものの、画的なキツさを感じてしまった。