朝井リョウさんが水フェチだという情報はない。特段変わった人という印象もない。そんな作者がこの作品を書く時、どのような情報収集をしたのか。なぜこの作品を作ろうと思ったのか。結局これも、「普通の人」から見た「変わった人」への幻想・妄想・偏見なのではないかと考えてしまう。
この映画では稲垣吾郎さん演じる寺井が、不登校の子供やその母親、水フェチなどの社会的少数者や弱者に対して、冷徹に「普通」を突きつけ否定する悪人のように演出されているが、恐らくこの映画をみて「面白い」と感じている大半の人はその悪人なのだろう。そして、自分は悪人だと思った。
普通の人だから、こういう嗜好の人を描いた作品をエンタメと感じられる。じゃあ当事者はこの映画を観て、何を感じるのだろうか。
