SHOCKER戦闘員の映画日和

ビリーバーズのSHOCKER戦闘員の映画日和のレビュー・感想・評価

ビリーバーズ(2022年製作の映画)
3.6
2024.03.24
山本直樹先生原作。
ほぼ磯村勇斗さんのお芝居が見たい!
という理由で探っていたところ本作に辿り着いたので鑑賞致しました。

孤島で半、自給自足生活で暮らす3人の
宗教団体と思わしき人物たちの規律と本能の狭間で揺れ動く人間模様が赤裸々に描かれていました。
ニコニコ人生センターという名もいかにもな雰囲気を放っていて終始不気味。

オペレーターを演じられた磯村勇斗さんはつい最近「正欲」を鑑賞した際にも一癖のある青年を演じられていたので、

本作もまた宗教団体に身を捧げる人物として純白さと何処かリミッターが外れてるような危うさが際立っておりました。

役作りにあたり大分減量されたのか、全体的にヤツれた印象も受けたので改めて役者さんとしての情熱も伺えたのは大きな収穫でした。

彼らには名前が無く議長やオペレーターといった役職のようなコードネームで呼びあう関係性もまた、
組織の歯車的な部分を連想させるのが何処となく切ない気分にさせられますね。

信仰にどっぷり浸かる経緯も三者三様で描かれており、
過去のトラウマや現世から逃避行をする手段としてコミカルに、生々しい描写が続くのでこの辺は鑑賞する人によりお好みが分かれそうですね。

副議長の北村優衣さんは男性陣を翻弄する人物として全裸シーンにも体当たりで挑む姿勢は凄い!に突きますね。

以前何処かでお見掛けした事のある役者さんだなぁと調べたところ
-雨のまにまに-という短編映画がヒットしてあぁっ!となったのも良い思い出。

役者さんとしてのキャリアが今後どのような形で開花されるのかしっかりと名前覚えておこうと思います!

そして誰よりも癖が強い議長を演じられた宇野祥平さんの存在感と
「いるな〜こういう伯父さん...」感がまたビリーバーズという作品を何倍にも底上げしたと思います。
私の鑑賞する邦画の8割に存在しておりリリー・フランキーさんに続き、
2大溶け込み上手俳優さんとして認定しているので、今回もまた世界観に馴染むことに成功しているなと感じました。

信仰心で言えば他の2名と比べても強いんだけど、誰よりも欲に弱いと言う。

でも現世に自分の居場所は無いんだ!という根っこの部分があるからかこそ、
信仰に対する違和感が多少生じても抗う言動までには踏み込めず。

人の弱みに付け込んで来るカルト教団の如く負のループが蓄積されていく事で恐ろしい一面が顔を出すといった部分も含めて非常に重要な役どころだったと思います。

惜しいと思ったのはエロ路線に振りすぎたために本来のテーマ性が薄まった印象も受けたので、役者陣のお芝居を堪能する分には鑑賞して損なし!でした。