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私は世界一幸運よのsuzyのネタバレレビュー・内容・結末

私は世界一幸運よ(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

タイトルとあらすじから勝手にニューヨークで順風満帆な生活を送る女性の転落物語のようなものと想像していたら、非常に重い作品だった。
主人公アーニーの視点で、現在と過去が交差しながら描かれているのでより鮮明に彼女の感情が伝わってくる。

女性という性別に生まれてきただけで「弱い立場」になってしまうこの世の中が腹立たしい。レイプされた被害者が「酔っていたのが悪い」とか「自分の身は自分で守らなきゃ」という理由で片付けられてしまうのはどう考えてもおかしいし、「加害者が身体的に傷を負ったから」といって罪を償ったことになる訳が無い。性被害の恐ろしさってそれを経験したことのある人にしかわからないんだろうなって思ってしまった。この作品を通して世の中の人に、どれだけ性被害というものが心を傷つけてトラウマを植え付けてしまうものなのか、理解してほしいと思った。「アメリカだから」というものではなく、どの国においてもこういった問題で苦しんでいる人は沢山いると思う。決して他人事ではない。最後は彼女自身が満足する結末を迎えられてよかったと思った。

『ビッグ・リトル・ライズ』や『ゴーン・ガール』を制作した「Pacific Standard」が映画化権を獲得した原作というだけあってとても良い作品だったけど、『プロミシング・ヤング・ウーマン』と比べるとなんだか物足りない感じがしたし、もっと上手く描けたのではないかと思ってしまったので4.0。なんかもう少しこの作品に合った良い邦題はなかったのかなと思う。あらすじもそうだし、これだと初見で私みたいに軽いサスペンス映画として捉えてしまう人も少なくないと思う。もっと色んな人に見てほしい作品。
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