事実から歩み去る人々

IMDbで高評価されてる全編（擬似）ワンカットのホラー。末期症状のママの看病に疲れた主人公が、気晴らしのためにネットで知り合った美女とデート♪その時に立ち寄ったお化け屋敷がなんとガチ！触れられた箇所を腐らせるパワー持ちのロットクリープなるモンスターに襲われる…的なお化け屋敷映画。

初デートで『死霊のはらわた』を見に行くとかいう、なかなか攻めたデートプランに驚くけれど、肝心のお化け屋敷に到着するまで45分（映画は94分）かかるという大胆すぎる時間配分が何よりもの驚き！お化け屋敷到着まで初対面な男女のぎこちない会話をワンカット映像で延々と見させられる、「今コレ何見せられてんの？」感の凄さよ！

『オメラスから歩み去る人々』を原作にしているらしく、本作は多くは語られないながらも親による児童虐待・性的虐待を根底に置いている。そして作中で何度も語られるような、自分たち（事実を知った者たち、観客）が逃げることで他の誰かが傷つけられてしまうとしたら逃げた自分の責任は？的な、道徳の教科書のようなお話を何重かにレイヤー分けすることで、その連関や伝搬にまで話を広げさせるような感じの内容だった。

そもそも全編ワンカットにする必要性が良くわからないし、ここぞなところで長回しにして、基本は複数台カメラで編集重ねた方が映像的にもメリハリつくし恐怖シーンも際立つのにな…と思いながら見てた。無理くり編集点作ってワンカットっぽく見せてる本作の努力の方向性が私には良くわからなかった。その代わり、カメラを逆さにしたり、各部屋の色彩や年代を違えたようなアイテム&デザインで心的な状態を見せるように工夫がされてたのは面白かった！

あと冒頭の電話シーンも面白くて好き！主人公が友人と電話で会話してるんだけど、スプリットスクリーンで会話してる2人を見せてると思わせといて、友人がいきなり主人公側の画面に入ってくるとこ普通に驚いたし笑った🤣

• #ホラー映画と怖い映画