虹島流浮

キャスティング・ディレクター ハリウッドの顔を変えた女性の虹島流浮のレビュー・感想・評価

4.0
日本では馴染みのないキャスティングディレクターという職業。

私が初めて興味を持ったのは、映画史に残る美少年代表でお馴染みの『ターミネーター2』のジョン・コナー役エドワード・ファーロングはどのように発見されたのか。
マーリー・フィンさんというキャスティング・ディレクターがカリフォルニア州はパサデナの児童会館てきなところで見つけて声をかけたという。
しかもこの方は『タイタニック』にディカプリオをキャスティングし、ブラッド・レンフロを『依頼人』でデビューさせたお方。
とんでもない洞察力だなぁと感心しました。

このドキュメンタリー映画はそんなマーリーさんではなく、この業種の先駆者であるマリオン・ドハティさんを主役に、彼女に見出された数々の名優たちと共に語られる「ハリウッドのキャスティングの実態」といった大変興味深い職業映画なのであります。
特に彼女はアメリカンニューシネマに大きく関わっていまして、『俺たちに明日はない』(1967)のウォーレン・ベティ、ジーン・ハックマン、『明日に向かって撃て!』(1969)のロバート・レッドフォード、『真夜中のカーボーイ』(1969)のジョン・ヴォイドとダスティン・ホフマンを見出したお方。

やはり俳優はそれ一本でやっていくには単独では難しい。
監督と俳優とを繋ぐ架け橋としてチャンスを生み出し、俳優の本質を伝えてくれる助け舟なのです。
近年まで続いている古い考えを受け継ぐハリウッドの男性社会を冷めた目で見つつ、今や名優と呼ばれる俳優陣の彼女への感謝と賛辞と成功により「キャスティングディレクター」という職業の重みが理解できます。

ジョン・ヴォイドの失敗談には勇気をもらいます。
そろそろアル・パチーノの自伝映画とかも製作されないかなぁ。

素晴らしい脚本があって素晴らしい役者が色をつける。ここはセットなのです。