広島カップ

キャスティング・ディレクター ハリウッドの顔を変えた女性の広島カップのレビュー・感想・評価

3.8
For MARION
1923-2011

例えば『明日に向かって撃て』(1969)にポール・ニューマンとロバート・レッドフォードが何故出ているのか?
例えば『真夜中のカーボーイ』(1969)に何故ジョン・ボイドとダスティン・ホフマンが出演しているのか?
そんな事当たり前と思って別に考えたこともない私のような観客は多いと思います。
でもやはり映画作品の出演者が決まるのにも訳があり、適当に決まっている訳ではなくキチンとした理由で決めている人がいます。

マリオン・ドハティ、映画界におけるキャスティングの先駆者。
自分の経験に基づいた直感を信じる彼女は数多くのスターを見い出して作品に輝きを与えています。

確かに映画を観ていると監督の味、音楽家の味、カメラマンの味なんかは直ぐに観客に伝わります。ですがキャスティング担当の味というものは直ぐには分からない。
サンダンス・キッドがレッドフォードで正解だったかどうか?ラッツォをホフマンが演ってズバリだったかどうか?アル・パチーノではダメだったのか?誰にも分からない。
しかし、サンダンスがホフマンでラッツォがレッドフォードではないことは確かだ。それまでは色々なパワーバランスによって決まっていた出演俳優が、選球眼のある打者によってクソボールを振って凡打に終わる打席(作品)にならなくなった功績は大きい。

作品の最後に冒頭のクレジットがスクリーンに映りますが、彼女の果たした仕事は後進に確実に引き継がれており、今の映画界に及ぼした影響は測り知れないことを本作は教えてくれる。
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