No.3673
「キャスティング」の仕事に焦点を当てた逸品。アメリカ映画史に興味のある人は必見。
ただ、アカデミー賞の一ファンとして、ラストは複雑な感情で、「なんで!!」と叫んでしまった。
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テイラー・ハックフォードがドヤ顔で言ってたように
「キャスティング・ディレクター」という肩書が嫌で、「名乗るならキャスティング"担当"」にしろ、と言うんだったら、
そういう偉そうな監督のほうこそ「現場の仕切り"担当"」に肩書変えろよ!!!
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キャスティングが「ディレクター」を名乗って、監督たちのほうに実害が出ることはあるのか??
多分ないと思う。あるわけがない。
ごく一部のお偉い「監督様」のプライド。このくだらないプライドのせいで、特定の職種がいまだに過小評価される。
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なにがちゃんちゃらおかしいって、このハックフォードの発言は、自分が働いてきた映画業界の歴史そのものを否定することになるんよね。
だって、たとえばアカデミー賞って、いまでこそ世界的に注目される賞だけど、
その成り立ちって、そもそもは、映画業界内の労働組合の台頭に頭を悩ませてたスタジオ側が、
ハリウッドで働く映画人(俳優や技術者たち)を「労う」慰労会みたいな場だったわけですよ。
接待と言ってもいい。
アカデミー授賞式の初期は、ごくごく身内だけのささやかな式で、ハリウッドで働く映画人たちが、お互いの仕事ぶりをたたえ合う場として始まったわけです。
「いつもは映画会社やスタジオと、組合側は対立することも多いけど、こうやってアカデミー協会が僕らキャスト、スタッフを労ってくれて、オスカー像までくれるんだから、
まぁ、また明日から映画界のために、ハリウッドのためにがんばりますか」
みたいな意味合いがあったわけ。
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それをハックフォードみたいな人が、「キャスティングなんか重要じゃない!! ディレクターを名乗るなんてとんでもない!!」
って、同じ業界内で働く異職種同士で対立してどうするんだと。
だからアカデミーは古くて頭の固い老人集団なんていつまで経っても言われるんだろうと!!