安全な獏

杜人(もりびと) 環境再生医 矢野智徳の挑戦の安全な獏のレビュー・感想・評価

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大地は身体のようなもの。水脈、風の道は血管。血は堰き止めてしまうと痺れ、壊死してしまう。水や風の道がコンクリートで断たれてしまうと、草も木も呼吸ができなくなってしまう。
人工物を無くすのではなく、コンクリートも砕いて石や岩として生かす。既にあるものを無駄にしない。

生きている限り生かす、命が失われていくことに責任を持つ。そういう言葉を聞いて、本当に矢野さんは環境"医"なんだなと。人間に接するのと同じように植物に接している姿が印象的だった。

特に刺さった矢野さんの言葉は、「すべての生き物が満たされていない。満たされないことを『そういうこともあるよね』『しょうがないよね』と、マイナスを背負い合ってバランスを保っている(ニュアンス)」というもの。
人間はリスクを避け、完璧や効率を求めすぎてきた。けれど川を真っ直ぐに作ればそれだけ氾濫したときのダメージは大きい。蛇行するという自然の形にも実は意味があった。
結構自分の生き方にとっても教わることが大きかったな。
安全な獏

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