ソラアユム

NOPE/ノープのソラアユムのレビュー・感想・評価

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
3.7
題名:NOPE
鑑賞日時:2022年8月27日
鑑賞方式:MOVIX川口
評価:3.7(MAX5.0)

『上を見るな!』


2022年144本目(劇場鑑賞31本目)

【良】
・コントロールできぬもの
 シットコム番組での惨劇は、緊張感が凄まじく、最高の恐怖映画に仕上がっていたと思います。調教=完全なる支配ではないと。非常に生々しくて、恐怖のあまり息を呑む場面でした

・“アレ”のデザイン
 これもシンプルな第一形態から、洗練された美しき最終形態まで、見事なデザインだったと思います。ダニエル・エスピノーサ監督作『ライフ』の宇宙生物を彷彿とさせます。

【悪】
・テーマとエンタメのバランスについて
 『ゲットアウト』はテーマ性とエンタメ性を両立した非常に優れた作品だと思っています。後続作品『アス』はテーマ性が強い反面、謎の多さと小難しさがエンタメ性を阻害していて、個人的にはあまり好きにはなれませんでした。地のお話はめちゃくちゃですしね。では、今作『NOPE』はどうか。『アス』よりもストーリーがシンプルで分かりやすく、エンタメ性は高くなっていると思いました。しかし、やはりテーマ最優先で語っているあまり、前半の展開の鈍重さは非常に気になります。監視カメラの取り付けに何をもたついてるんですか。ホラー描写もすかしばかりで芸がありません。シットコム番組での惨劇や最後の決闘など、恐怖映画やエンタメ映画としての側面もあり、楽しめる瞬間は確かに在るのですが、前半は静的で頗る退屈です。

【総評】
 メタファー、風刺、暗示、社会的メッセージもいいのですが、シンプルにストーリーで勝負して欲しいです。「あそこの場面はどういう意味だったのだろう?」という問いに対して、テーマありきの考察によるフォローが必要なシーンが多すぎませんか。次回作に期待。


以上