YOKOZUNA

NOPE/ノープのYOKOZUNAのネタバレレビュー・内容・結末

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

映画を撮ることやエンタメを生み出すことに対する自己言及的な構造で「最悪の奇跡」に立ち向かう。未知との遭遇に我々が期待してしまう高尚な意味など内包しない、ただ動物的な本能による奇跡。ほんと最悪。

象徴的なwatching youのハンドサインは、何者にもなれない兄妹が(世間の承認によらず)互いを見ていることの表れであり、メタ的には、人々が見たがるスペクタクルばかりに(文字通り)目を向けるのではなく、搾取や消費により見捨てられた者たちへの連帯を示す。そして完成した作品はしっかりスペクタクル!特に広大な荒野を駆ける空撮のシーンは、音楽も込みでぶちアガり!

私らが組んだらだれにも負けねえんだよファック!とエメラルドは高らかに叫び、OJはブラックジョッキーを二度と忘れんじゃねえぞとばかりに威風堂々と立つ。言いたいことをこれでもかと叩きつけるキレッキレのラスト。

ジーンジャケットをはじめとした舞台装置のデザインは抜群で、雑多なカルチャーをサンプリングし再構築してみせた手腕も見事。

一分の隙もない出来、ジョーダン・ピール恐るべし。ゴーディーからジュープへと繋がった負の歴史を踏まえた先の、映画の新たなフェーズに立ち会えていることが嬉しい。
YOKOZUNA

YOKOZUNA