堀雄一

NOPE/ノープの堀雄一のレビュー・感想・評価

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
4.2
目を合わせてはならない動物は、猿とか犬とかあくまで人間スケールの動物に言えることで、イワシに対する鯨のように、圧倒的な体格差を持つ空飛ぶ動物は人間如きに恐怖心=攻撃性を抱かないだろうと思う。空飛ぶ動物は妙に人間じみている。

そのような設定が、この映画の寓話くささを生んでいる。ところどころに、人種的差別、それをプラグマティズムで乗り越える商業主義や、なんやかんやが背景として描かれている。

間抜けなカウボーイの風船が空飛ぶ動物に致命傷を与える下りの皮肉的情景など、煮ても焼いても食えないアメリカというマジョリティから描かれた物語の終わりを宣言しているように思える。

さあ時間です、ここにいることは出来ないよ。みたいな遊園地の閉場アナウンスが良い塩梅で映画を〆る。
堀雄一

堀雄一