今年は映画の当たり年です。
何か強いメッセージがあるかのように、思われて追っていくとはぐらかされてるようで、そうでもないのかもと迷わされる。
音楽(劇中映画)と物語の進行との、不協和。例えばウクライナ>>続きを読む
喜怒哀楽別々にあるように見える感情はスペクトラムにつながっている。まだ名前のない感情がある。カメラの長回しを多用するこの映画自体が人の生の長回しのようで、長回しすることでしか見えないことがある。
こ>>続きを読む
共通の敵によって支えられる仲間意識は、仲間意識のためにはあえて敵をも作り出すという人の本質部分が、嫌な感じで、この映画のそこらじゅうにある。
制度や、なんやかんやが簡単に生まれかわり、表面はつるっとま>>続きを読む
貧しさに対応した空間を埋め尽くす生き物の豊かさ。ひとが絶えずユートピアを作り出し、否定するということにどのように決着をつけるのかということを、今回は、パズーのような「天然の美」ではなく、社会の影響をも>>続きを読む
障害の有無ということではなく、出会った人とちゃんと出会い尽くすことを続けること。それに加えて出会い尽くすために出来ることを開拓し続けること。
そういうことがしたいのだと思った。
戦争、国家と、そこに生きざるを得ない人々を中心に、意外にも骨太に展開されるピノキオ。子供と一緒に見れて良かった映画。
目を合わせてはならない動物は、猿とか犬とかあくまで人間スケールの動物に言えることで、イワシに対する鯨のように、圧倒的な体格差を持つ空飛ぶ動物は人間如きに恐怖心=攻撃性を抱かないだろうと思う。空飛ぶ動物>>続きを読む
馬鹿そのもののSNS傭兵が相手を間違えた、胸がスッとする話。
同じ文脈にある、かつての名作ホラーはやられる側に感情移入が起こるが、この映画にそれが1ミリもないのは、化け物と人間の差ではない。
あ、逆だ>>続きを読む
神話的に構成された倫理的ピンク映画。この神話が、性の逆方向への開放、タブーの取り除きとかではなく、自由からの開放、本来性の取り戻しを示しているところが、近頃の世の中のありように、まっすぐ通ずる。それが>>続きを読む
たまたま親という役割を帯びる前の親にあった、普通だった。そりゃそう。そのリアリティー。
イーストウッド先生はオリエンタリズムなアメリカ人として、フン族に謝罪をし、文化の普遍性を証立てたが、飽き足らず、メキシコの闘鶏選手のマッチョが泣いていることに、思いを馳せた。リアルが危険であることとか>>続きを読む
警察はジャンプ台にすぎない。飛び込む先の海は飽くまで「許し」だ。映画は倫理規範を飛び越えた聖域を確保することが役割であったことがわかる。誠実な監督と役者。
そういうものがないと、どきつくても冗談ひとつ>>続きを読む
策略なく、視線を交わすことのエロ(ティシズム)が執拗に繰り返される。一目惚れは幻の既視感を伴うということまで表現してるかのようだ。
最近すごい映画というか映像描写多いよな。カットとか頻繁にはないよな>>続きを読む
かつてあったことは、ひとまとめに空間的に併置される。それが幽霊の存在だ。過去は終わっていないし、未来は過去である。
しかしながら、時は確実に過ぎることに気づく。過去の経験を見ることでしか、現在ではあ>>続きを読む
合理的に無駄を減らし、リスク回避に最大限注意をはらうことと、"ムーンドッグ"のような蕩尽の両極の間で自分自身が凡庸に揺れているなと思う。
損得勘定の小利口さにうつつを抜かすビジネスバカマインドは、た>>続きを読む
不幸をマッチポンプ的に増幅、消火した末の幸福を売り物にするのは、べつに新興宗教じゃなくてもやってるけど、信者にスティグマを付与して、社会的に隔離させてしまうところがカルトである。
迫害を受けることが>>続きを読む
それがどんなにおかしなことであっても、当たり前に実現してしまうと、普段の風景に溶け込み、違和感は薄まり、利用するかどうかの判断にまで辿り着いてしまう。ひとの適応力なんだろう。どんなおかしな夢でも、夢の>>続きを読む
子供に教えられるというより、一緒に過ごし、大人は子供になることで、見失っていたことを思い出すことができる。こんなに子供を描き上げた映画は他にないように思う。
気づいた時にはもう遅いというやつ。いきなり戸惑いを感じるのだが、スタンドアップコメディ自体が文化構造の違いからよく分からないというより、コメディに主人公のシリアスな斜陽が反映されておりはじめっから笑え>>続きを読む
まるで、ドラえもんの死後ポケットだけ残ったのび太の悲劇のようだ。かつてドラえもんが生きてた頃は、たまにある映画版ドラえもんのような、敵の出現によるコミュニティの回復の中で、この映画では悲劇の条件でしか>>続きを読む
おもしろい。軽快だけど、ノリでなんとなくやってしまうような無駄はなく、詰め込まれてるけれどもかさばらない小気味良さがある。
後先考えない主人公たちによる開放的な展開に息をのむけど古典落語のように完結した落ち着いた物語。好きだなあ。
60年代ショービジネスの世界の持ちつ持たれつの共犯関係(今ではハラスメントともいうが)は、あれだけ人が死んでも犯罪として立証する動機が働かない、殺されても仕方がないことをしているというところで、最終釣>>続きを読む
主人公の男の子の解放的な笑顔がすごく良い。子供は本能的に逆らうが、目的を定めて暫定的に大人になる。
このレビューはネタバレを含みます
妻が語る空き巣話は、恋愛が動機であっても、そっから先は罪であるという境目を置く限り、おのずと恋愛は罪を突破する欲望に変質、破綻するという話である。
これは主人公に対して、遠回しな罪の告白だが、妻が死>>続きを読む
金だけがあり、他は何もないことを繕う上で取巻きを必要とするダメな大人たちへのリアクションは暴力くらいしかない。スカッとジャパンな展開。
考えてみれば、当時は(アンチ)モードの時代で、抵抗するのに金が要>>続きを読む
人間との境目が曖昧な朧な存在として幽霊の描き方がキレキレ。深淵を覗き込んでみな幽霊化してしまうのだが、ついに人間幽霊間の和解が成り立っている、構造的な世界観から見える希望の描き方がよい。骨がしっかりし>>続きを読む
学校やメディアのうんこな有様のなかで、分断される人と人は、怖がらずに語る行為ごとに、全員が、少しずつ回復していく。
本当のことを何も知らなかったことに気づき、知ろうとしはじめる父親を演じる古田新太をは>>続きを読む
南米の寄生虫の感染による「催淫」という、スカムな、ほとんどばかばかしいモチーフ(しかも続き物ホラー映画というてい)から、生命保険の勧誘員というもうひとつの筋と絡んで、枕営業と感染、あるいはゾンビ状態を>>続きを読む
素晴らしいホラーサスペンス。
内容。くそ軽薄さゆえに危険な編集者との対比で、1000年前のミイラに誠実さを感じる仕上がり。ミイラに学者が対話を迫るシーン「動けるなら初めからそうしろ」もずば抜けてるけど>>続きを読む
うんざりするような人間の馬鹿さ加減を描いたというより、ラストシーン、全てが和解した家族の終末の満たされた静けさと、二万数千年後の間抜けな脱出の有様の対比よって、そうまでして生き残ることの価値が問われた>>続きを読む
消化するのに時間がかかる道化師への追悼半ドキュメンタリー映画。のっけの夜中にサーカスのテントを建てるシーンの美しさによって、この記録映画の世界に引き込まれる。
陽気さや笑い飛ばしではなく、道化師やサ>>続きを読む
寓話的なノイズのないストーリー。過剰な、意味のかたまりのような演出を、読み解くような見方になる実験作。
登場人物たちの予想を裏切るような振る舞いに、絶妙な音響が乗っかって、どきどきさせられる。かなり>>続きを読む
こういう気色悪さの集積のような職場が地獄なわけで、警備員だけに「地獄」が掛かっているのではない。