じじ

NOPE/ノープのじじのネタバレレビュー・内容・結末

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

2024.05.12 17本目
傑作、面白過ぎました。
ホラージャンルに分けられていて正直見れないかもと思っていたが、不気味な要素が多いだけで凄く怖い訳ではありませんのでご安心ください。

コメディのナレーションから始まる。旧約聖書ナホム書3章6節「わたしはあなたに汚物をかけ、あなたを辱め、あなたを見せ物とするー」奴隷制度や貧富の差、上下の関係からのカウンター。しかし、これは決して見せ物ではない。ゴーディ家に帰る、カメラを買うOJ達への言葉、商売にするリッキーなどが象徴である。
5セントに記されているトーマスジェファーソンは資本主義との関係性が強い。そして、その5セントで父が死に、5セントで写真を撮影してオプラを目指す。立っている靴も含めて「最悪の奇跡」となる。作品を通してメタ要素が色濃く、皮肉のような、自らを蔑むような表現もある。
キーワードは「目を合わせるな」Gジャンと名付けたUAPと目を合わせると捕食される。対比として、OJは妹のエメラルドをしっかりと見ていた。ジェスチャーには兄としてのかっこよさを感じた。しかし、out yonderに映るラストからもうこの世にいないのではとも考察できる。
UAPを撮影することに「意味あるよな」「誰かの役に立つよな」というセリフは監督自らに言い聞かせているかのような、消費されることへの不安を示しているような気がした。エメラルドの背景で流れる遊園地のアナウンスにはただの娯楽と訴えの区切りのような意味合いがあるのではないか。
資本主義や格差の政治的背景の他にジョーズのような作品を撮りたかったらしい。Gジャンは使徒っぽいし、金田バイクのオマージュやキリンビールなどディテールが面白い。
名もなき者の復讐、アフリカ系騎手、西部劇、スコーピオンキングのトレーナー、初のグータッチ

ストーリーとしては、序盤はミステリアスで暗いカットが多いが、中盤ではしっかりとUAPが確認でき(こんなにもしっかり出すとは思わなかった)、終盤はよりのめり込めるような展開で全く飽きが来なかった。
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