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猿ノ王国のレクのレビュー・感想・評価

猿ノ王国(2021年製作の映画)
4.0
コロナ禍にテレビ局で起こる隠蔽事件を社会の縮図に擬える。

地位や権力、自衛と正義感、責任の所在に同調圧力。
不確実性が拡大する社会で俯瞰図から抽出された憎しみの背景を知った時、観客へと跳ね返ってくるものは自己嫌悪。
観客という立場さえ、高みの見物ではないんだ。

エンタメ性と社会性の両立が藤井秀剛監督の魅力のひとつでもあると思っていて、『狂覗』ほか過去作同様に本作『猿ノ王国』でも鑑賞中はスリリングな興奮を覚え、メッセージ性を突きつけられた鑑賞後の余韻に打ちひしがれる。
"狂っているのは誰なのか?"

加えて、25階と地下を繋ぐカメラワークと編集、マスクによる力関係の演出、排泄描写の使い方が最高でした。
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