ぶみ

デュアルのぶみのレビュー・感想・評価

デュアル(2022年製作の映画)
3.0
敵は、もう一人の自分。

ライリー・ステアンズ監督、カレン・ギラン主演によるSFスリラーではなく、シュール・コメディ。
病気により余命わずかとなったため、遺族を癒すために自身のクローンを作成したものの、病が完治したことからクローンと対峙することとなった主人公の姿を描く。
主人公となる女性サラ及びそのクローンをギランが一人二役で演じているほか、アーロン・ポール、ビューラ・コアレ、テオ・ジェームズ等が登場。
物語は、観客がいる前でオリジナルとクローンの男性がデスゲームかのような対決をするシーンでスタートするのだが、この時点で、なぜかB級な雰囲気がムンムン。
イメージビジュアルにもあるように、冒頭に繰り広げられたようなオリジナルとクローンとの対決が、最後には待っているのだろうと思いながら観ていると、ものの一時間でクローンが完成したり、はたまた完治しないと告げられていた病があっけなく治癒し、なおかつそれらを誰も不思議に思わず受け入れているという、怪しげな世界観となっているため、途中からは、シュールなSFかなと感じたところ。
また、街中では、ほとんど人が歩いておらず、キャストも含め、皆活気に満ち溢れているとは言い難い雰囲気が漂っているため、謎のディストピア感があるのも本作品のポイントの一つ。
私的には、サラが決闘での戦闘力を高めるべく、ポール演じるトレーナーに師事してトレーニングを受ける件の結末が、あまりにもシュールすぎて失笑した次第。
サラやクローンも含め、基本皆無表情のなかで繰り広げられる決闘に向けてのやりとりが、何とも言えない可笑しみを醸し出しており、オリジナル、クローンとも、この世界観のもとでは、そうなるのも仕方ないよなあと思うとともに、SFアクションやスリラーだと思うと拍子抜けしてしまうため、シュールなコメディとして観るのが正解な一作。

悲しみに値は付けられない。
ぶみ

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