この空間は誰のテレトリーなのかが映像的にも台詞的にも主題な中で他人のテリトリーを我が物顔で踏み込むことで結束を深めていく。個々の移動が省略された世界で、いしだ壱成が、序盤のたどり着けなかった歩道橋の反対側からの反復で、妻がいる橋へと向かう足取りを丁寧に映しそこから照れくさい愛の言葉をかけるカットバックに移行する愛おしさったらない。ラストの、時間経過で誰のテリトリーなのかもわからない空間で夫婦の丁寧なお芝居（後ろに倒れるなど）を捉えるカメラに、観客に別れを告げるようなピアノの音色、サイコーじゃん！