シカク

MEN 同じ顔の男たちのシカクのネタバレレビュー・内容・結末

MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

アレックス・ガーナンド監督作のサスペンススリラー。
未亡人の主人公ハーパーは夫の死をきっかけに心の傷を癒すべく、田舎のカントリーハウスへと赴き休暇を過ごそうとします。 
いざ、ハウスへと着くと一見おどけた愉快そうな管理人ジェフリーに迎えられ、各部屋を案内されます。レトロで美しいハウスにハーパーは気に入った模様、もうすでに不穏な雰囲気が漂います。 

この映画のテーマでトクシック・マスキュリニティ(有害な男らしさ/男らしさの呪縛)を取り上げられており、男はこうでないといけないという男らしさや男性優位の女性軽視を想起させる表現が暗示されている。 

心の平穏保ちたいハーパーの傷口を抉るように、奇妙で不条理な出来事に遭ことによってかつての夫との事が挿し込まれて辛い。トクシック・マスキュリティ
(この映画で初めて知った)は、女性や男性規範に当てはまらない人だけではなく自分自身にも牙を剥く事があり、その被害者が夫ジェームスでありハーパーだったんだろう。

最初は何かおかしな事が起きてるなと、題名にもある同じ顔の男たちに似てるっちゃ似てるけどいまいちハマらず戸惑いが浮かんで、夫婦間の問題が拗れ、口論の末のとあるシーンそしてラストのあっけに囚われる一種の悪夢などビジュアルはクローネンバーグ映画を見てるようだった。イギリスの田舎の風景、トンネルと森、美しく長閑な絵の中に薄気味悪い仕掛けと空気感が不釣り合いで怖いというより鑑賞後は独特なざわめきが残る感じだった。

女性から見たいやな男性性というのを、ハーパーが御伽噺よろしく体験(巻き込まれた)しているのを一緒に付き添い追体験させられる。派手なきついシーンはあるものの、静寂の中に嫌な種が撒かれ芽吹いていた。
シカク

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