まさわ

ファルハのまさわのレビュー・感想・評価

ファルハ(2021年製作の映画)
3.8
す上映後に岡真理さんの解説つき、イスラーム映画祭にて。

1948年のイスラエル建国によりパレスチナ人が受けたあらゆる暴力、ナクバ(大災厄)を描いた作品。ナクバやパレスチナ人の物語は少なく、世界に共有されていないなか、劇映画として今作品が完成した意義は大きいと岡さん。

冒頭では少女たちが泉に集まりイチヂクを摘んだり、ファルハは親友に都市部の学校へ進学したいと夢を語るなど、パレスチナの豊かな自然と希望が提示される。なにげない日常生活のなか突然に爆音が鳴り出す。「敵」の空爆が始まり、ファルハの生活は一変する。
逃げる人々の流れに逆らって、父と村に残る決断をしたファルハだが、娘の身を案じた父はファルハを食糧庫へ隠し、外から鍵をかけてしまう。閉じ込められた彼女は外で起こる惨劇を成すすべもなく扉の隙間から眺めることしかできない。

これは「過去の戦争」ではない。今もつづくイスラエル軍による虐殺の、たったひとつの象徴的シーンにすぎないのかと思うと、わたしには語る言葉がない。はやく、一日も早く停戦を。パレスチナの人々が心から安らげる日がくることを祈る。
まさわ

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