コマミー

PIGGY ピギーのコマミーのレビュー・感想・評価

PIGGY ピギー(2022年製作の映画)
3.7
【子豚】




本作の事はSNSで知った。
"いじめ"を取り扱った内容であり、私もいじめ経験者としていつか見てみたいなと思っていた作品である。
どうやら本作は、本作の監督"カルロタ・ペレダ"が本作を作る前に手がけていた"短編"が元になっているのだと言う。本作はその短編を長編作品として"再構築"した作品だと言える。短編でも主演を務めた"ラウラ・ガラン"を含め短編のキャストもほとんど続投し、スペインから新たな"ブルータルリベンジもの"が誕生した。

主人公"サラ"は、自身の"体型"の事で"クラスメイト"から「子豚」と言われたりして酷いいじめを受けていた。かと言って家庭に居場所があるのかと言うとそうでもなく、結構強情な"母親"との仲が悪かった。"閉鎖的"な環境で閉鎖的な生き方を強いられているサラだが、"プール"でいじめられて服を奪われた故、下着姿の状態で半べそかいて走っていたら、自分をいじめていたクラスメイトが"謎の男"に"誘拐されている所"を目撃する。
だがサラは、今までの怒りがある為"見逃してしまう"…。

てっきり私はこのサラが、自分をいじめていたクラスメイト達をめっためたに殺す場面を想像したのだが、本作で描かれている事件にはこの謎の男が関与しているのだ。その男の犯行場面を目にしたサラの"その後"を、この長編では描かれているらしいのだ。
リベンジホラーとしての見方もなかなか的確なのかもしれないが、本作は単純にこの男の犯行にいろいろ振り回されるスリラーや、よくよく考えればこの男はいじめから解き放ってくれた"白馬の王子様"的な見方もできる為、"ストックホルム症候群"的なラブストーリーとしての見方もできるのだ。
ほんといろいろな見方ができる作品だと感じた。

そして本作の"画角"についてだが、「1.33:1」と言うスマホや写真並みの画角に狭めている。これは監督によると、主人公サラや他の登場人物の"人物像をより強調させる為"の手法なのだと言う。確かにこの手法はサラの心情を強調させて我々に緊張感を与えていた。

主演のラウラ・ガランの気迫ある演技がいまだに脳裏に焼き付いて離さない。それに彼女の"母親"の存在感もまた凄く、いわゆる「毒親」の存在による子供の閉鎖的な気持ちも物語の中では描かれていた。それを演じたスペインのベテラン女優"カルメン・マチ"の演技もまた良かった。

本作は言うほどあまり浸透しない作品かもしれないし、短編に比べたら迷走感が半端ないが、ホラーとしてもスリラーとしてもラブストーリーとしてなどいろいろな見方ができる作品だし、いじめについていろいろ考えさせられる作品でもある為、観れて良かった。
俳優達の演技も皆申し分ないし、楽しめる人は充分楽しめる作品ではないだろうか?

監督の今後も楽しみですし、主演のラウラ・ガランの今後も実に楽しみです。
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