いち麦

PIGGY ピギーのいち麦のレビュー・感想・評価

PIGGY ピギー(2022年製作の映画)
5.0
同級生たちからは幼稚で執拗な虐めを受け、母親からは抑圧され父親や弟にも蔑ろにされている少女サラ。そんな彼女の生き地獄のような日々を影からそっと見守っていた不審な男。
この男を主人公にして描けば充分ノワール作品になるような人物設定だけれど、虐められっ子サラの視点で展開していくため、彼女の体験に同情と共感を抱き、より一層物語に引き込まれた。彼女が殆ど台詞を喋らないのも凄惨さや恐怖を掻き立てる。また、手を差し伸べるかのように振る舞う男の本心は何処にあるのかが悩ましくこの点でも吸引力大。最後の結末に幾つかのパターンを想像しながら見ていたが、この着地には大満足。クラウとの経緯を窺わせる映像描写も行き届いていると感じた。
少女サラを演じたラウラ・ガランは新人女優賞も納得の素晴らしい体当たり演技。これから様々な役を演じて見せて欲しい。

2022シッチェス映画祭メリエスドール賞(最優秀長編映画賞)受賞、2022ファンタスティックフェスト・ホラー長編部門最優秀作品賞受賞、2023ゴヤ賞・最優秀新人女優賞受賞。
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