いち麦さんの映画レビュー・感想・評価

いち麦

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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

5.0

次第に砂漠の民たちに溶け込み信望を得ていくポール。アラキスの生態系を熟知し利用できるフレメンとの協調なくしてこの星は統治できないことを圧倒的な威力で見せつける映像スケールが素晴らしい。
現代の世相
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私ときどきレッサーパンダ(2022年製作の映画)

5.0

ありのままの自分を出していくことの快さを初めて知った娘メイリン。この家系に先祖代々伝わる不思議な現象と解決方法が愉快。思わず笑ってしまう場面が多かった。
親の期待に応えようとする子供と、自分の思い
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猫とピットブル/キットブル(2019年製作の映画)

3.0

劇場公開となった「私ときどきレッサーパンダ」と同時併映された短編。台詞なし。この画の質感は嫌いじゃない。庭の敷地で飼育されていた飼い犬とそこに棲み着いている野良の子猫との交流。人と動物、動物と動物の>>続きを読む

DOGMAN ドッグマン(2023年製作の映画)

4.0

初め自分の大好きなイタリア映画「ドッグマン」(マッテオ・ガローネ監督)のリメイクだと勝手に思い込んでいたが全くの別物。謳われている“ダークヒーロー”とはちょっと違う。ノワールっぽくもありJ.フェニッ>>続きを読む

ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)

5.0

義父・義母を崖から突き落とし殺した男と、図らずもその瞬間を動画撮影してしまった少年たちのドロッドロ、命懸けの頭脳戦。少年少女たちの複雑で訳ありな家庭環境をしっかり背景に窺わせながら次々と意外な方向へ>>続きを読む

しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 〜とべとべ手巻き寿司〜(2023年製作の映画)

3.0

劇場版31作品目。いよいよ3DCG版発進。クレしんに登場するキャラクターたちはもともと目の白い部分がないのが特徴で、それをそのまま今作の目玉と謳っている(?)3DCGで作るとどうなるか。これ、何だか>>続きを読む

アンダーカレント(2023年製作の映画)

2.0

このレビューはネタバレを含みます

「アンダーカレント」というタイトルで自分はあのB.エヴァンス&J.ホールのジャズ名盤をまず真っ先に思い浮かべるのだが、何と今作は公開前に打たれたチラシのキー・ヴィジュアルまであの名盤のジャケット・デ>>続きを読む

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

ジェフリー・ライトが繰り出す軽快なテンポの対話と思わず漏らす表情が脳の隅々まで刺激して知的興奮を起こす…久しぶりに風刺の効いた痛快コメディを堪能できた。大満足な愉快作。

“セロニアス”ときたら“
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ちひろさん(2023年製作の映画)

4.0

いい意味で諦観した“ちひろ”の対人関係の心地よさ。ふと激しい言葉が口をつくこともあり、この境地に達するまで一体どんな修羅場を掻い潜ってきたのだろうと彼女の人生を想像させる。母親とも、きっと大きな出来>>続きを読む

パレード(2024年製作の映画)

3.0

打ち捨てられて廃墟となった遊園地、超広角レンズで捉えたシャックのようなアキラの書斎など、温かみのある映像の質感が滲みるようにとても良い。大切な人を失った者には思い残しを果たすことのできる有り難く魅力>>続きを読む

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

「本屋大賞受賞 魂が涙する傑作小説 待望の映画化」とのこと(キー・ヴィジュアルのキャッチ・コピーより)。 原作未読。三島貴瑚(きこ)の壮絶な人生。泣かせ処も少なくない。うーん…原作もこんなにあざとい>>続きを読む

こんにちは、母さん(2023年製作の映画)

4.0

母と息子、2人の人生の転機を優しく温かく描いていた。お互いこんなに何の屈託もなく何でも話し合える親子っているんだろうか。羨ましい。高齢の母は元気そうだし…。昭夫が一歩踏み出せたのは牧師が自ら語った経>>続きを読む

リボルバー・リリー(2023年製作の映画)

3.0

原作未読。史実の断片をフックにしたフィクションと見た。某重要人物の謎めいた経緯が知りたくて吸い寄せられた。幣原喜重郎がモデルなのだろうか。この時代、どれだけの人間がどれだけ大っぴらに反戦活動ができた>>続きを読む

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

2.0

絶大な人気を誇る漫画が原作で長らく映画館を賑わせた超人気アニメ映画だったので気になって見た。原作にも全く触れたことがない。大勢のファンの方々には大変申し訳ないけれど、少年時代の嫌な思い出もあってバス>>続きを読む

コットンテール(2022年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

イギリス湖水地方の美景で纏めた雰囲気優位の作品かとの予想は良い意味で裏切られ、夫婦や家族の関係を窺わせる描写のしっかりとしたドラマだった。

冒頭から兼三郎が不道徳であったり我儘で自己中心的であっ
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ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)

5.0

何と言ってもアクション映像がアートのようで素晴らしい。爽快さや愉快さを際立たせるためのアイデアがユニークでマシュー・ヴォーン監督ならではのものだと思う。
物語の方は割と既視感あるネタだったしそれほ
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ポップスが最高に輝いた夜(2024年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

“We Are The World” 製作の舞台裏とレコーディング風景を収めた音楽ドキュメンタリー。L.リッチーがナビゲーター。楽曲が大ヒットしていた当時は各アーティストの個性がそのまま出ていたフレ>>続きを読む

ラスティン:ワシントンの「あの日」を作った男(2023年製作の映画)

5.0

キング牧師の歴史的演説で知られる人種差別撤廃を訴えた1963年のワシントン大行進。この米国史上最大の平和的抗議集会を計画し実現させた活動家バイヤード・ラスティンを描いたドラマ。まるで当時の現場に居合>>続きを読む

彼方に(2023年製作の映画)

3.0

一瞬のうちに理由もなく不幸の底に沈められた男のPTSDが短い映像に凝縮されていた。あらゆる出来事が哀しみに通じる中、特別に彼の心傷を刺激する何気ない周囲の人たちの言動に心が痛む。ある人たちにとっての>>続きを読む

コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)

4.0

アフガン人アーメッドの通訳以上の仕事ぶりや米軍曹ジョンが彼に信頼を寄せていく過程が丁寧に描かれ胸を熱くする。着地に至るまでなかなかの感動盛りだ。
一方で9.11同時多発テロに対する報復として米国が
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犯罪都市 NO WAY OUT(2023年製作の映画)

3.0

予想以上にバイオレンス&クライム・アクションの色が濃かった。だが、そのアクションが自分には今一つ冴えない印象で響かなかった。顔を合わせた途端に殺し合いに突入する悪漢どもの裏切り合い関係がよく分からな>>続きを読む

バッドランド・ハンターズ(2024年製作の映画)

4.0

崩壊したソウルのディストピア感が「コンクリート・ユートピア」を彷彿。チャン・ヨンナムの笑顔が不穏感を長らく引き摺っていき話に引き込まれた。ただ、登場するマッド・サイエンティストの風貌がステレオタイプ>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

妻による殺害か自殺か。法廷劇がメインだが、転落死の真相をめぐるミステリーというよりも妻の人物像や夫婦・家族関係を紐解いていく人間ドラマの味わいだった。また、裁判というものの現実にも思い巡らされる作品>>続きを読む

ネクスト・ゴール・ウィンズ(2023年製作の映画)

4.0

弱小チームの選手たちをどう指導していったか(…それは既にドキュメンタリー作品「ネクスト・ゴール! 世界最弱のサッカー代表チーム 0対31からの挑戦」(2014)で伝えられている)、よりも寧ろチームを>>続きを読む

梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

5.0

17世紀朝鮮史をベースにした宮廷ものフィクション・サスペンス。頗る腕の立つ盲目の鍼医ギョンスが主人公のため、陥るピンチも講じる反撃もとてもスリリング。意外な展開を分かりやすく見せてくれていて最後まで>>続きを読む

リバー・ランズ・スルー・イット(1992年製作の映画)

5.0

ソフト持ちの大好きな作品。もう「午前十時の映画祭」のラインナップに入るとは。劇場スクリーンで4K版を鑑賞できる貴重な機会だった。字幕は戸田奈津子氏。
ノーマンとポール、お互いに羨望も競争心も抱き合
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

タイトル通り。ボーはいったい何を恐れているのか?この一点に集約できそう。多分現実としてあるのは死んだ母親の家に行かなければならなくなったということだけ。話は全て子供の頃から抱き続けてきた母親に対する>>続きを読む

ヒンターラント(2021年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

台詞にも出てきたが、タイトルには他にも幾つか意味が込められているように思う。メッセージを認めたような凄惨な死体が次々と現れ、尋常ではない怨恨が映像から窺われる。それに対して犯人が負った過酷な体験は映>>続きを読む

銀河鉄道の父(2023年製作の映画)

4.0

当時の家長が長男に懸ける期待とは別に、父・政次郎が如何に息子・賢治を溺愛していたかがよく分かった。自分自身に通じるような息子の頭の良さも父が可愛がる理由の一端ではないかと思った。また、宮沢賢治がなぜ>>続きを読む

悪魔の世代(2021年製作の映画)

4.0

旧ソ連から独立したリトアニアの歴史を織り込んだミステリー。主人公の警察局長がノワール並みに胸糞悪く結構な悪漢。それに次々と殺人が起こるので一貫して暗いムードだし凄惨でゴアな映像も少なくない。でもプロ>>続きを読む

イノセンツ(2021年製作の映画)

4.0

直ぐに仲良くなれるが些細なことで仲違いもする…如何にも子どもらしく無邪気で残虐な発達段階がそのまま下地にされたような子どもたちのホラー。過剰な演出のない、北欧映画らしいクリーンな映像で纏められていた>>続きを読む

身代わり忠臣蔵(2024年製作の映画)

4.0

誰もが良く知っている忠臣蔵の話をよくもまぁ、こんな荒唐無稽な人情喜劇にアレンジしたものだ。吉良上野介の弟=孝証の、素直で人情溢れる人物像が魅力。一応、肝心な部分の結末だけは史実通りに合わせた上で、破>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.0

恋人でもなく親友でもなく、でもお互い気に掛けていて、苦しんでいるときには助けたり助けられたりする関係っていいね。恋愛感情でなく友情でもない…でも快い結びつき。そんな人間関係を描いたユニークな物語だっ>>続きを読む

一月の声に歓びを刻め(2024年製作の映画)

3.0

「性暴力と心の傷」がテーマとのことだが掘り下げが足りない印象をもった。また、その核心部分を映像で伝えるのではなく、台詞で丸々語ってしまっていては味気ない。フェリーや親子関係など共通しているような要素>>続きを読む

ジェントルマン(2021年製作の映画)

3.0

もはや宿敵とも言うべき悪漢を何度も検挙しながらも法の下では裁くことができなかったキム検事に対して、チ・ヒョンスがとった策は悪漢の急所を突いていてなるほどとは思った。ただ、これで喜んでてはいけないのか>>続きを読む

カラーパープル(2023年製作の映画)

5.0

舞台版ミュージカルを映像化した作品だが、スピルバーグ版(1985年版)と基本的には全く同じ展開。製作者の一人でもある御大へのリスペクトからかスピルバーグ独特のユーモラスな演出を1985年版からそのま>>続きを読む

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