いち麦さんの映画レビュー・感想・評価

いち麦

いち麦

レイティングは5段階でざっくりと。作品の評価というよりはどれくらい気に入ったかで付けています。2017年全鑑賞作品のレイティング平均=4.1
(Since 2015/10/16)

映画(1685)
ドラマ(0)

つかのまの愛人(2017年製作の映画)

4.0

熟年男一人に、娘と、娘ほどに若くて魅力的な愛人の三つ巴の生活を見せ切る。女性二人のキャラクター描写や心の奥の垣間見させ方が上手いというか…エグい。彼女達の脇埋める男性達が皆クセ顔系イケメンなのも実に>>続きを読む

ポップ・アイ(2017年製作の映画)

4.0

象の“ポパイ”とおじさん厭世の旅。ホームレスに纏わるEpが彼の優しさを滲ませる。どんな旅にも終わりがあり現実へどう戻って行くのかが大切だ。終盤の展開はさり気なくも良い味わい。緩い物語にタイの長閑な景>>続きを読む

大人のためのグリム童話 手を失くした少女(2016年製作の映画)

5.0

手は失っても、失ってはいけない大切なものをしっかりと手離さぬ娘の強い生き様には、現代人でも深く感銘を受けた。高畑勲を敬愛する監督の一人作画作品だけあって水墨画の様でもあり、日本の昔話の様な味わい。で>>続きを読む

タリーと私の秘密の時間(2018年製作の映画)

4.0

子育ての大変さがキリキリと伝わる分だけ、優れた子守りタリーの出現で観る側も救われる思いが静かに沸き起こったのだが…。既視感ある着地だが、二人の演技と哀しい現実の伏線張りやその浮かばせ方が良かった。

ペンギン・ハイウェイ(2018年製作の映画)

5.0

未知なる事象への憧憬をメタファーで巧みにパッケージした、小さな科学者誕生譚と見た。定説で捉えられぬ現象を追う探究アプローチは、研究者のそれと基本的に同じ。物理学に馳せた心が懐しい…最後に見せる少年の>>続きを読む

英国総督 最後の家(2017年製作の映画)

5.0

インドとパキスタンに引き裂かれる大国の悲劇と悲惨、建国を後ろ楯する最後の英国総督の苦悩。激動の時代のうねりに、宗派の違う男女の悲恋が重なる歴史ドラマ。大国に翻弄される者達の姿が胸に迫り見応え充分。>>続きを読む

センセイ君主(2018年製作の映画)

5.0

格好悪いほど一生懸命な姿は人の心を動かす。これ、コメディ映画というより全編ほぼ、お笑いコントそのもの。浜辺美波の面白い顔作り練習が眼に浮かぶくらい、素晴らしい表情演技。始終大笑いしたが最後はホロリ。>>続きを読む

青夏 きみに恋した30日(2018年製作の映画)

4.0

進路に迷う吟蔵を揺さぶる理緒のストレートな言葉と溌剌とした姿。二人が割り切った一夏の恋は切ない。若者達に田舎臭はせず、W三角関係もちょっと鬱陶しい。でも、葵わかなの上手い直球演技で爽やかな青春譚に。

懺悔(1984年製作の映画)

5.0

粛清という国家規模の大罪とその贖罪を、一家系の物語に置換するアイデアが素晴らしく、ブラックファンタジーの様な演出とも相まって、長尺だが最後まで引き込まれた。ヴェルラムの慇懃無礼な態度やサンドロのマス>>続きを読む

希望の樹(1976年製作の映画)

3.9

色彩豊かな自然と大らかでユーモラスなキャラクター達の姿の陰で、村の権力者を中心に、因習が明朗な人間たちをキリキリと締め付けていく。革命が近づく気配の中、マリタとゲディアの悲恋を軸に暗転していく世界が>>続きを読む

祈り(1967年製作の映画)

3.0

叙事詩的ナレーションが古めかしく、また暗喩的でもあって、容易には馴染めない。ただ、奇異な山岳景観や、雪原、太陽光などの自然を取り込んだ映像の威力は神々しいほどに凄まじい。山場やラストでのイスラームの>>続きを読む

オーシャンズ8(2017年製作の映画)

4.0

字幕版を鑑賞。計画段階からの見せ方が惜しみなく、痛快な盗み技を堪能…ハプニングのスリルは弱いが代わりにオチに繋げていて愉快。自虐ネタで笑わすアン・ハサウェイ、愛嬌あるヘレナ・ボナム・カーターの役処が>>続きを読む

追想(2018年製作の映画)

5.0

純愛一つを丸ごと飲み込んでもなお余る人の一生の哀しさよ。どちらかと言えば青年エドワード寄りの視点か…こんなにも切ないラブストーリーだったとは。S.ローナンの繊細な演技、美しい映像と楽曲の使い方も劇伴>>続きを読む

詩季織々(2018年製作の映画)

5.0

三編とも心に残る物語で浸れた。郷愁と食欲唆る『陽だまりの朝食』も良かったが、青春譚の『上海恋』は若さ故の尖った心情がリアルに良く伝わってきて強く揺さぶられた。映像も、繊細なライティングが素晴らしく美>>続きを読む

アバ/ザ・ムービー(1977年製作の映画)

5.0

大好きなラッセ・ハルストレムの出世作品。1977年のオーストラリア・ツアーでの生収録を中心に、監督がそれまで手掛けていたABBAのMV製作を生かした、セット収録のクリップ映像を加えて構成された、モキュ>>続きを読む

2重螺旋の恋人(2017年製作の映画)

4.0

この特異な人物設定から、自分なりに二、三のオチを想像して見ていたのだが一番詰まらないパターンだった。ただ、映像ヒントの繰り出し方、鏡を多用した映像演出や、カットの構図等は素晴らしく最後まで惹きつけら>>続きを読む

バンクシーを盗んだ男(2017年製作の映画)

4.0

ベツレヘムを二つの世界に分断した壁に描かれた『ロバと兵士』を筆頭にグラフィティ・アートの数々。様々な立場や意見が興味深い。切り出しを手伝ったパレスチナ人ワリドの言葉と、この壁画の顛末が皮肉で象徴的。

結婚まで1%(2017年製作の映画)

5.0

心の変化は誰も責められぬ。自分の欲する愛の形に気付き、正直に生きようとした二組のカップル達。アナの余りの実直さには動揺したが好感。終盤の特異な急転に納得、きめ細やかな4人の描写が秀逸…ビターなラブス>>続きを読む

マイナス21℃(2017年製作の映画)

5.0

自己中心的で負けず嫌い、とことん未熟なダメ男なんだが、憎めない。遭難しかかった8日間で、彼が思い巡らす記憶が辛い場面しかなく今の姿にもある程度は同情…それでもなお彼が内省していく過程が痛々しく胸に迫>>続きを読む

スターリンの葬送狂騒曲(2017年製作の映画)

3.0

欧米を中心に各国の俳優が集い、粛清に粛清を重ねてきた独裁者の末路を茶化す…メタ構造の味が沸かせる。だから寧ろ英語の台詞が似合う妙。ただ、ブラックなネタの一々…個人的には笑いのツボが全く合わず終い。

ミッション:インポッシブル/フォールアウト(2018年製作の映画)

5.0

入り口はシンプルなのに深みと奥行きは途轍もなく広大、それでも最後まで観客を振り落とさない優しい展開の設計に只々、感服のエンタメ大傑作。行動しながら考えるスタイルと、瞬時に守るべき者を判断する人間味が>>続きを読む

インクレディブル・ファミリー(2018年製作の映画)

4.0

ヒーローが辛い誤解に立ち向かう姿に、家庭や社会でのジェンダーの問題が纏う…単調でない物語に。でも最後はヒーロー達のアクションの醍醐味で。アニメならではの動き、エンドロールも最後まで愉しめた。

バオ(2018年製作の映画)

4.0

食べたくなるほど可愛くてしょうがない息子を思う母親の感情と、子供の成長に伴った家庭の成熟をギュッと詰め込んだ、暗喩的な短編アニメ。お父さんは兎も角、ショート・ヘアで押し付けがましくない、すっきりした>>続きを読む

叫びとささやき(1972年製作の映画)

3.0

ベルイマン生誕100年映画祭にて鑑賞。次女の死を境に露わになる長女と三女の対照性と衝突。侍女アンナの代償愛。欺瞞の白vs.真実の赤、レッドアウトの映像演出は、多くのカットの美麗さと相まって効果的。仰>>続きを読む

王様の事件手帖(2017年製作の映画)

4.0

ユーモアがあって切れ味も抜群な王イェジョンと、弄られ役の新人史官イソ。話は次第にシンプルな流れに収束していくけれど、二人のキャラクターが最後まで魅せる。アクションの見せ場まであり爽快感あるエンタメ作>>続きを読む

ヒトラーを欺いた黄色い星(2017年製作の映画)

5.0

強運以上に何処までも生き抜く意志と強かさ。中でもツィオマの果敢で巧妙な生き様に引き込まれた。彼らを匿い協力したドイツ人達の言葉に、国を愛する事と権力者の言いなりになる事の断固たる差異を見た思い。

縄文にハマる人々(2018年製作の映画)

3.0

様々な分野の人が縄文文化に感化され、自分流の解釈を持っている…その熱量の半端無さには唸ったが、情報的には散漫。なるほどと納得したくなる見方もあったが本当の処は謎。軽やかな音楽や統一した画像演出には好>>続きを読む

沈黙(1962年製作の映画)

5.0

ベルイマン生誕100年映画祭にて鑑賞。余りに違う二人の行く末が残酷…これまでの姉妹の対照的な生き方に思いを巡らせてしまう。最後に二人が妹の子に残した物の対比に仄かな光を見る思い。技巧的な映像演出が溜>>続きを読む

鏡の中にある如く(1961年製作の映画)

4.0

ベルイマン生誕100年映画祭にて鑑賞。精神を病んだカーリンを致命的なほど傷つけてしまう父と弟、愛しているのに寄り添い切れぬ夫。もう容赦ない展開に慄くばかり。それでも愛と一括りにせざるを得ぬ悲愴感に打>>続きを読む

朝鮮名探偵 鬼(トッケビ)の秘密(2018年製作の映画)

4.0

謎解き迷コンビ第3弾。遺体の傷痕と不可解な死因の組み合わせ…奇怪な事件の連続を追う前半はオ・ダルスの剽軽演技で笑わせてくれる。終盤は、シリアス調で壮大な因縁を一気に捻じ込んできたが納得もでき楽しめた>>続きを読む

ベスト・バディ(2017年製作の映画)

3.0

デュークとレオのライバル関係から解けてできた友人関係が一寸弱い。リタイア組達が見せる足掻きは微笑ましいが、リゾートのハッチャケ振りが物足りず、笑いも今一つ突き抜けない。M.フリーマンも、いつも通りの>>続きを読む

沖縄スパイ戦史(2018年製作の映画)

5.0

本島北部や離島での旧日本軍の暴戻を詳らかに。決して終戦間際の混乱として片付けられぬ軍の長期計画的、組織的な悍ましき住民活用作戦。単なる記録に留まらず今の自衛隊の軍規や世界情勢を検証し力強いメッセージ>>続きを読む

沈黙、愛(2017年製作の映画)

5.0

観客の心を巧みにリードしていくプロットに感服。一頻り山場を迎えた後のもう一展開には韓国映画らしい家族のドラマが盛られ、映像演出での心情表現も相まって大いに揺さぶられた。チェ・ミンシクは哀愁すら漂う納>>続きを読む

ウインド・リバー(2017年製作の映画)

5.0

シンプルな物語だが充分なサスペンス色と人間ドラマで脚色されていて最後まで離さない。何と言ってもアメリカ先住民と心の繋がりを持つ凄腕ハンターのキャラクターが堪らなく渋い。見応えあるJ.レナーの演技だっ>>続きを読む

北朝鮮をロックした日 ライバッハ・デイ(2016年製作の映画)

5.0

メンバーや北朝鮮と信頼関係を築けていた監督だからこその一大プロジェクト。新しいものを受容できぬ多くの国民相手に苦闘を繰り広げるメンバー…そのバックステージの様子が非常に面白い。検閲官らに対し、アーテ>>続きを読む

人間機械(2016年製作の映画)

4.0

インドの巨大繊維工場で過酷な労働を強いられる超低賃金労働者たち。プリミティブな機械の動作を補うかの様に一体化した人間の動き。組合が出来ぬ理由や寸断された心理、グローバル資本主義の闇が彼らの言葉から浮>>続きを読む

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