いち麦さんの映画レビュー・感想・評価

いち麦

いち麦

レイティングは5段階でざっくりと。作品の評価というよりはどれくらい気に入ったかで付けています。
(Since 2015/10/16)

セブン・シスターズ(2017年製作の映画)

5.0

7人の一卵性姉妹が長い間、身を隠しながら曜日を分けて一人の人間を生きてきたことの過酷さが端的に非常に良く描かれているので、物語にすっかり引き込まれ、後半からの展開にも深く感情移入してしまった。7人の>>続きを読む

バリー・シール/アメリカをはめた男(2016年製作の映画)

3.0

個人を描けばノワール・コメディとして成立しようが組織と見れば米国の病理に他ならぬ。その余りにプリミティブな手筈…笑い処が寧ろ呆れてしまった。もう少し爽快感ある演出だったら楽しめたのかも。

ネリー・アルカン 愛と孤独の淵で(2016年製作の映画)

3.0

性依存症を思わせる小説中の登場人物たち。作家自身の分身でもある彼女らに自らが蝕まれ自己との境界が次第に曖昧になっていく過程。主軸である筈の作家の物語が薄いのには不満が残る。一番肝心と思える性描写も生>>続きを読む

春のソナタ(1989年製作の映画)

4.0

ロメール特集上映にて鑑賞。知り合って間もない女同士の友情を軸に恋愛要素をちょっぴり交えた小粋なドラマ。球突きの如く画面で入れ替わる男女…だがロメール流オトコの願望全開的展開には陥らず。ショートのジャ>>続きを読む

問いかける焦土(1992年製作の映画)

3.0

ヘルツォーク特集上映。湾岸戦争後、クウェートの大規模な油田火災とその消火活動。火を噴く世界が何処か惑星の様な異様さ。圧倒的映像優位、荘厳な音楽で格調の高さと引き換えに活動の子細で掴み取れぬ処もあり口>>続きを読む

ノスフェラトゥ(1978年製作の映画)

3.0

ヘルツォーク特集上映。ドラキュラ伯爵と対決する夫婦の地味な物語。災禍をもたらす吸血鬼の悲哀も微かに漂わす。K.キンスキーの白塗りメイクが仰々しい。I.アジャーニの美貌や若く凛々しいB.ガンツの変貌も>>続きを読む

アトミック・ブロンド(2017年製作の映画)

4.0

ベルリンの壁が崩壊する中、東西の諜報員達が騙し合い殺し合う頽廃感。身体を張ったC.セロンのアクションと惹きつけるカメラワーク。背景の作り込み、フィルターを掛けた特徴的な色調など映像への拘り感がイイ。

女神の見えざる手(2016年製作の映画)

5.0

素晴らしい脚本…この仕掛けにはまんまと意表を突かれ、心を掴まれた。攻撃時が最大の油断時か…この世界の何と恐ろしいこと。勝つためには凡ゆる手を使う女性ロビイスト…まるで綱渡りを見る様な緊張感が堪らない>>続きを読む

リングサイド・ストーリー(2017年製作の映画)

4.0

ヒデオの駄目っぷりをとことんコミカルな笑いへと繋げる瑛太のイイ演技。等身大な俳優のままリングへ上がろうとする突拍子もない展開も実に自然に気持ちよく見せてくれた。夢を見たいカナコの健気さも良かった。

あなた、そこにいてくれますか(2016年製作の映画)

4.0

過去の自分と交流するタイム・スリップものだが二人の自分が大切にする二人の命をどう救うか。その策の切なさを超えたやや強引な着地はやり過ぎな気が。現在のスヒョンが過去のヨナを見つめる視線が堪らぬ。

殺意の誓約(2016年製作の映画)

3.0

愛する家族に見せる顔を上手く繕いつつバカ娘の惚れたクソ野郎に憎悪を膨らませ破裂させる医者オヤジ。その手口は巧妙という感じはしないが、凄まじい執念が直に訴えかける。それなりに北欧のローカル色を漂わせて>>続きを読む

サミット(2017年製作の映画)

4.0

LBFF2017にて鑑賞。更なる頂上を目指すアルゼンチン首相の隠れた本性が国際会議場を舞台に次第に露わになっていく硬派ドラマ。その過程は異なる切り口から多重に描かれ見事に互いに響き合っていく。西語圏>>続きを読む

家族のように(2017年製作の映画)

4.0

LBFF2017にて鑑賞。合法と非合法の曖昧な境界を彷徨ったマレナが、倫理的にも際どい境界を綱渡りしていく。闇に貶められた彼女が、その闇に自らの手で一寸の光を射し入れようとしている様に思えた。心情の>>続きを読む

スキン~あなたに触らせて~(2017年製作の映画)

3.0

LBFF2017にて鑑賞。ダーク・コメディと簡単には括れそうもない、人間が内外に持つ様々な醜悪さとの対峙を象徴的に描いたドラマ。偏執者は兎も角、奇形はマイルドに作られているものの映像的にはかなり際ど>>続きを読む

モースト・ビューティフル・アイランド(原題)(2017年製作の映画)

4.0

LBFF2017にて鑑賞。底辺で這う様に暮らす不法移民のルシアナが、高報酬と引き換えに引き摺り込まれた極めて危険なアルバイト。道具立てからのスリラー張りに目が離せぬ。ただ最後は彼女の変容が見たかった>>続きを読む

7日目(2017年製作の映画)

4.0

LBFF2017にて鑑賞。ニューヨークで暮らすメキシコ系移民達の日常。大切な仕事や用事が重なり抜き差しならぬ状況でも、ひた向きに取り組もうとするホセの健気さと愛嬌あるマスクが魅力。過酷な状況にもラテ>>続きを読む

ゲット・アウト(2017年製作の映画)

4.0

人種差別を一種のコンプレックスとして上手くあしらった物語でスリラーとしても十分楽しめた。だがそれ以上に世代間ギャップを使った巧みなネタ等、吹き出しそうになった。コメディ感覚もしっかり押さえた作品で好>>続きを読む

ル・コルビュジェとアイリーン 記憶のヴィラ(2015年製作の映画)

4.0

巨匠の作と間違われていた別荘の興味深い因縁から紐解かれる建築家2人のドラマ。高尚で頑なな性格のアイリーンも子供の様に彼女へのコンプレックスを露わにするル・コルビュジエも人間臭い。
コルビュジエを演
>>続きを読む

アナベル 死霊人形の誕生(2017年製作の映画)

4.0

哀しい過去の記憶が邪悪な力にどう繫がるかはオーソドックスながら、分かるまで不条理な恐怖を呼ぶ。もうすっかりお馴染みの人形の顔だが割とそっくりな少女リンダの登場に暫し揚がった。細部も丁寧に前作へ繋げら>>続きを読む

猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)(2017年製作の映画)

4.0

2D字幕にて鑑賞。窮地に陥ったエイプ達を追う前半はコバの呪縛を思わせるが前作からの座り悪く退屈。だがコッポラの名作で描かれた狂気を下に敷きつつ、自滅していく人類の憐れな姿をシーザーの視点から見せつけ>>続きを読む

愛を綴る女(2016年製作の映画)

5.0

恋の衝動を抑えられぬガブリエルの物語から、ミステリアスさを纏いつつジョゼの健気な愛の物語へクロスフェードしていく鮮やかな展開。ラスト映像も魅力。少女の様な顔から娼婦の様な顔まで見せるM.コティヤール>>続きを読む

ラーマン・ラーガブ 2.0 /DEVILデビル(2016年製作の映画)

4.0

IFFJ2017にて鑑賞。実在したサイコパスの名をシリアル・キラーとその男を追う警部に振り分けた意図が、両者の対決という以上に次第に絡み合う心理描出へ現れてくる。不安定な感情が炸裂する緊迫感も充分。

僕の可愛いビンドゥ(2017年製作の映画)

4.0

IFFJ2017にて鑑賞。幼馴染みの友達関係から始まった恋の結末を、形を変えて小説に書くことの意味がジンワリ迫る切なさ一入。中盤はややダレるが、アビの台詞は作家だけになかなかアピールする。しっとりし>>続きを読む

ハッピーただいま逃走中(2016年製作の映画)

5.0

IFFJ2017にて鑑賞。親の仕切った婚姻から印パに引き裂かれたハッピーとグッドゥの恋愛以上に、男を上げていくビラールと彼を見つめるゾヤに惹かれた。ウスマンの撒く笑いも最高。濃密でハイ・テンポなコメ>>続きを読む

ディシューム J&K(2016年製作の映画)

4.0

IFFJ2017にて鑑賞。行方不明になったクリケットの主力選手を凸凹コンビの刑事が捜索。次々と転がっていく愉快な展開がスタイリッシュなカットで繋がれる。でも結果オーライで切り抜けるジュナイドの抜けた>>続きを読む

スルターン(2016年製作の映画)

5.0

IFFJ2017にて鑑賞。何の為に闘うのか、スルターンの熱い語りが格闘技シーン以上に心を鷲掴み。サルマーン・カーンの全方位演技を存分に堪能。脇の絡みも実に良い。歌あり踊りあり、笑いあり涙ありのインド>>続きを読む

ネルーダ 大いなる愛の逃亡者(2016年製作の映画)

3.0

LBFF2017にて鑑賞。東西冷戦下、共産主義が挫かれていくチリ。ガエル演じる警察官の独白が始終ウザいほど被るのがミソ。見る者が困惑する様な場面…と追跡ゲームは幻想的というより虚像か仮想人物を立てて>>続きを読む

天国と地獄(1963年製作の映画)

5.0

午前十時の映画祭8〜4K上映を鑑賞。ネットもGPSもないアナログ時代だからこそ犯人に迫る緻密で誤魔化しのない犯行時〜捜査描写が貴重。しかも実に見通しの良い映像。着色シーンには執念を感じずにいられぬ。>>続きを読む

エレファント・マン(1980年製作の映画)

5.0

デジタル復元版で36年ぶりに劇場再鑑賞。人間の内面にある醜さと崇高さの両極を晒す。ジョンは宛ら接する相手をそのままに写す鏡の様だ。猥雑な場面の構図には美しい古典的映画を彷彿。哀調帯びたテーマ曲も秀逸>>続きを読む

イレイザーヘッド(1976年製作の映画)

3.0

デヴィッド・リンチ特集上映。見事なテクスチャを4Kデジタル復元版映像で満喫。内面的醜態の突沸を怖れる男の、悪夢の様な妄想とでも言おうか。物語を抽出しようと足掻く見る側の意識と刳い映像とで惹く。笑えた>>続きを読む

ソウル・ステーション パンデミック(2016年製作の映画)

3.0

字幕版を鑑賞。腐った者同士の協力と対決のドラマを捻り技で持ち込むとは流石、韓国製。だがゾンビはやはりアニメより実写が合うと思った。ラストも今一つ。シム・ウンギョンがヘスンの声でこれは納得の巧さ。

ブラッド・スローン(2016年製作の映画)

4.0

塀の外と内、全く別人の様な二つの姿のギャップを埋めていく様な始まり。明晰な頭脳…それ以外、全て目的を果たす為に考えて手に入れていったものだ。相手により残す“施し”にも美学すら感じた。渋い硬派ノワール>>続きを読む

パーフェクト・レボリューション(2017年製作の映画)

4.0

障碍者の性を訴えるのではなく障碍者同士の恋愛を描いたドラマ。人格障碍のミツの言葉が時に真っ当で、小池栄子のバランサー役の演技と共に惹く。違和感あるラストはオルタナ・エンディングと解釈したい。

エタニティ 永遠の花たちへ(2016年製作の映画)

4.0

多産多死の時代…泡沫の如く生まれては消える儚い命。突然絶たれる枝もあれば広がり繁っていく枝もあり、宛ら大きな樹木の生長を見る様な家族の大系譜。特に数奇な運命へと導かれる従姉妹夫婦の物語がメイン。映像>>続きを読む

ポルト(2016年製作の映画)

4.0

フィルム映像にしっとり焼き付けられたA.イェルチンを堪能する私小説風。繰り返し描写され渦が吸い込まれる様に向かう核心の濡れ場。台詞とは裏腹に若い男盛りの性交。恋人役ルシー・ルーカスはクラシカルな美貌>>続きを読む

ヴェンジェンス(2017年製作の映画)

3.0

法の裁きが行き届かぬ地域臭。いつものN.ケイジ宜しく飄々とした出で立ちで次々と悪漢退治していくアッサリ感。ただ警官の心傷再生という色は薄かった。寧ろ娘がしっかりしていて母親とのドラマパートの要となっ>>続きを読む

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