いち麦さんの映画レビュー・感想・評価

いち麦

いち麦

レイティングは5段階でざっくりと。作品の評価というよりはどれくらい気に入ったかで付けています。2017年全鑑賞作品のレイティング平均=4.1
(Since 2015/10/16)

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空飛ぶタイヤ(2018年製作の映画)

4.0

巨大企業成敗に個人や小さな組織が挑むとき、揉み潰されるものと潰せないもの。組織の中に居ながら膿を出せる者と隠す者。その境界を考えさせられた。個人のドラマへと落とし込むなら正義漢の背景がもう少し窺える>>続きを読む

母という名の女(2017年製作の映画)

4.0

欲しいものは何でも手に入れたがる短絡的な母親の、余りに未熟な精神構造に呆れ果てる。お人好しで主体性ない恋人、同情はするが不甲斐ない姉にも不満。その分、娘が次第に母としての自覚と強さを持っていく姿が際>>続きを読む

リミット・オブ・アサシン(2017年製作の映画)

3.0

E.ホークのマスクを収めたショット十分でアクションはまずまず。ただ、見処と思われる、組織に抗うトラヴィスと組織で生きるジムとの間に交錯する感情は、ドラマ描写粗く汲み取れない。ラスト展開も今一つ。

ダークサイド(2018年製作の映画)

4.0

モーテルの奇妙な端部屋と不可解な小事件の連続で、薄気味悪さと緊張感が堪らない。その分、一気に真相が露わになる終盤の急展開と細部を想像に委ねるミニマムさが気持ち良い。期待以上に楽しめたサスペンス・スリ>>続きを読む

V.I.P. 修羅の獣たち(2017年製作の映画)

5.0

北朝鮮高官の息子にして変質殺人鬼の脱北男を中心に、CIAの保護要請受ける韓国情報員と犯人逮捕に奮闘する警察官とが対決。ここに復讐を誓う北の工作員が絡むという四つ巴的な構図とプロットが素晴らしい。想定>>続きを読む

夜明け前 呉秀三と無名の精神障害者の100年(2017年製作の映画)

4.0

百年前の日本における、精神疾患者の私宅監置レポートや精神病院の身体拘束撤廃など、彼の先駆性がオーストリア留学時体験に窺え興味深かった。現代の差別や偏見に目を向ける纏め方も良い。

メイズ・ランナー:最期の迷宮(2018年製作の映画)

5.0

都合良すぎる場面は多いが、絶望的な状況でも仲間を最後まで見捨てぬ姿に高揚。トーマスの気持ちが動く要所要所も見応えあった。2作目からの長いブランクの為か面立ちや体型など印象変わった若い役者達も。

ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)

5.0

家庭での父母や姉の愛情がオギーの優しさ、正義感、ユーモアセンスを育み、それらは友人との関係を築いていく力へと変わっていく。周りからの視点も添えられ入りやすい…泣き処多数。O.ウィルソンの父親姿が魅力>>続きを読む

榎田貿易堂(2017年製作の映画)

4.0

群馬渋川を舞台に人生危うげな者、ちょっと躓いた者達が吹き溜まる。意外性だけで垢抜けぬネタやスケベEpが、如何にも御当地っぽく思わずクスッとなる。演技できる役者勢が緩い話を上手く運んでいく。決して後ろ>>続きを読む

家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。(2017年製作の映画)

5.0

夫婦の絆を築いていくことの難しさと素晴らしさ。苦みも十分に含ませながら見る者に問い掛けてくる良作。人生に一番大切なことを心得た上で力を抜いた生き方ができる妻ちえが何とも魅力的。

榮倉奈々は、今ま
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羊と鋼の森(2018年製作の映画)

5.0

ピアノ調律との出会いから、それを仕事にしていく決意と覚悟まで外村の真摯な姿が胸を打つ。目指す音を掴み其処まで到達していく過程を、映像で表現しようとする意気込みにも好感。音質の調整法も興味を引く…本気>>続きを読む

それから(2017年製作の映画)

4.0

職場不倫した社長のしょーもなさ満載感。繰り返されてきたであろう、この男の狡さ馬鹿さを、김 민희演じる아름と畳み掛ける場面構成が巧みに炙り出し、思わずクスッとなる。茶目っ気たっぷりなズーム・インも相変>>続きを読む

リディバイダ―(2017年製作の映画)

2.0

状況設定には唆られたがそこからの展開が捻りなく極めて単調な上に緩慢なB級SF。主流に絡まる副流Epの一つや二つは欲しい。エコーワールドの演出の一つであるFPVは見辛いだけ、映像にも特に惹かれる要素は>>続きを読む

Vision(2017年製作の映画)

1.0

謎の薬草探しの舞台が人手の掛かった杉の植栽林という違和感。語られる断片的で浅薄な生態学的知識・未熟な生命観や、登場人物達の唐突で突拍子もない行動に我慢ができず、思わず苦笑…途中で劇場出たくなる場面多>>続きを読む

オンネリとアンネリのおうち(2014年製作の映画)

4.0

驚くほど機転の利く女の子2人が、自分達の身に起きた事件をきっかけに周囲の大人達まで幸せにしていく、フィンランド発温かい御伽噺。生き生きとした子役の小粋な演技と、色彩鮮やかで夢の様な映像が魅力的。

30年後の同窓会(2017年製作の映画)

5.0

大義名分で国民を海外の戦地へ駆り出す米国政府。米国民の多くが感じているであろう愛国心との折り合いと苦悩がよく伝わってきた。重いテーマなのにB.クランストンの蒔く笑いが最高。米国の傷を深く理解できそう>>続きを読む

OVER DRIVE(2018年製作の映画)

4.0

タフな車のレース走行が刺激的。メカニックの兄とドライバーの弟という取り合わせ、二人に横たわる深い因縁と複雑な感情…それを弟=直純側だけから放ち潔い。兄=篤洋の気質も良く窺えた。ただ森川葵の役処は中途>>続きを読む

妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ(2018年製作の映画)

3.0

こりゃ半世紀も昔のホームドラマの定番的お題。無神経な物言いの男二人とマメな弟夫婦。相変わらずの役回りと大家族会議が鬱陶しく新鮮味がない。熟年観客へのお節介?…笑い処もオチのダメ押し説明でクドい。

万引き家族(2018年製作の映画)

5.0

コピー通り、盗んだのは家族の絆…いや誰かが捨てたものを拾っただけと。人物相関の設定の巧みさと、演技力抜群の個性派俳優の共演で、これ以上ないほど自然な家族の画。法が掬い切れぬ人の情を見事に映像で掬い上>>続きを読む

ネッド・ライフル(2014年製作の映画)

4.0

ハル・ハートリー復活祭にて鑑賞。トリロジー最終作は母フェイから息子ネッドの物語へ。成長したリーアム・エイケンは子役の頃に負けず劣らず吸引力大。遂にスーザン登場で第1作の伏線が回収されていく…最後はヘ>>続きを読む

フェイ・グリム(2006年製作の映画)

3.0

ハル・ハートリー復活祭にて鑑賞。トリロジー第2作はフェイを主人公にしたスピンオフ並みの異色作。パーカー・ポージーの魅力全開。CIAエージェント役はJ.ゴールドブラム。笑い盛りつつ話は次第に世界各地へ>>続きを読む

ヘンリー・フール(1997年製作の映画)

5.0

ハル・ハートリー復活祭にて鑑賞。冴えないサイモンの変容、グリム一家に多大な影響を与えた風来坊ヘンリーの凋落感、訳アリ感が次第に頭を擡げていく。切なくハッとする演出多数。大きく変貌していく社会予見を背>>続きを読む

トラスト・ミー(1990年製作の映画)

4.0

ハル・ハートリー復活祭にて鑑賞。マリアとマシューの間に育まれていく愛は優しく強まる絆が切ない。愛が人間を変容させていくオーソドックスな展開だが魅力的なカットが多くハッとさせられる。エイドリアン・シェ>>続きを読む

最初で最後のキス(2016年製作の映画)

5.0

底抜けに明るいロレンツォの妄想、ヒット曲に乗せカラフルなファッションで魅せるポップな前半から、一気に暗転していく残酷な青春譚。学校でハブにされている男女三人の共同体が見せる精一杯の反抗が堪らない。で>>続きを読む

デッドプール2(2018年製作の映画)

3.0

R.レイノルズのセルフ&カバー・ネタにエンタメ大作のパロディ、お下劣ギャグ連発の座興に尽きる。マスク外してのネタ嚙ましは前作より一層悪ノリ絶頂期のJ.キャリーに迫る勢い。ただ、どのキャラも魅力薄いし>>続きを読む

恋は雨上がりのように(2018年製作の映画)

4.0

大泉洋が目当てだったが魅力的なのは断然小松菜奈だった。ふた回り以上も歳下の女子高校生にコクられながらも大人の男に相応しい態度を崩さぬ店長が大泉洋にぴったり。心の恋愛が二人を変容させる爽やか青春譚。

レディ・バード(2017年製作の映画)

5.0

田舎街に育った女子高校生が自分の理想像と食い違う現実を何とか塗り替えようと奮闘。家族愛と友情を織り込んだ成長譚は、巧まざるユーモアに溢れながらも切ない。最後に彼女が語るEpが自身の成長をさり気なく顕>>続きを読む

ビューティフル・デイ(2017年製作の映画)

4.0

請負人ジョーのトラウマなど人物描写への拘りと要所を敢えて暈す演出で緊張感高まる。凄惨さを抑えた端正なカットとパーカッシブなピアノ打鍵の劇伴が決まり、クールなバイオレンス作品に…これは好みが分かれそう>>続きを読む

ルイ14世の死(2016年製作の映画)

3.0

壊疽で腐っていく王の左足を見守り、容体を良い様に解釈したがる無力な従者たち。部屋に立ち込めている筈の腐臭を、蝿の羽音だけが表現。寧ろ死んだ後の短いシーケンスが意表をつき、侍医の極め付けの言葉が滑稽に>>続きを読む

私はあなたのニグロではない(2016年製作の映画)

4.0

米国社会の其処此処に散見される黒人差別のクリップが圧巻。差別される側の、差別する者の言葉の捉え方が想像を超えている。ジェームズ・ボールドウィンの差別感情の根源分析がどうしても絶望的に響いた。

ファントム・スレッド(2017年製作の映画)

5.0

女性を満足させる仕事に徹するレイノルズの異様なまでの執着心。気難しい男の異常な仕事愛と女の独占愛のスリリングな綱引き、男は激しい起伏を経ながらも遂に自分の中の“猛獣”の飼い慣らし方を会得か。シーソー>>続きを読む

海を駆ける(2018年製作の映画)

3.0

スマトラ島の長閑な景観。インドネシアの過去を下敷に、生命力を操る不思議な“海男”により手繰り寄せられた若者男女4人の淡い感情のぶつかり合い、終盤山場の高揚感が魅力。ただ、ギクシャク感で不自然な会話繋>>続きを読む

男と女、モントーク岬で(2017年製作の映画)

4.0

ニーナ・ホスと開放的な景観の美しさよ。男の一生懸命が女性にとっては自己中心的にしか映っていない常…男と女の心の隔たりは余りに大きく痛々しい。どんなに熱愛だったとしても昔の恋は掘り返さない方が良い。

軍中楽園(2014年製作の映画)

4.0

本土との衝突間近にいる筈の兵士の緊迫感や、極秘の娼館で働く女性たちの鬱屈感は極力抑えられた演出。話は悲劇的だが、悲壮感よりも艶やかな色彩が目を惹き、寧ろ愛惜感が強い。イーサン・ルアンの人懐っこい表情>>続きを読む

犬ヶ島(2018年製作の映画)

4.0

字幕版を鑑賞。緻密にコラージュされた日式文化と、日本人からはかけ離れたメンタリティの調合が独創的で不思議なノリを生んだ御伽噺の世界。均整の取れた構図や切り出す映像とカット繋ぎの個性…紛れもなくウェス>>続きを読む

ゲティ家の身代金(2017年製作の映画)

5.0

実話から巧みに脚色された見応えあるサスペンス。所謂、通常の身代金を要求した誘拐事件とは違う対決構造が浮かび上がる展開は、実にスリリング。やはり、人心は金で牛耳切れぬものだなぁと…後味も悪くない。
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