いち麦さんの映画レビュー・感想・評価

いち麦

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TENET テネット(2020年製作の映画)

5.0

タイム・スリップではなく時間軸逆行の意味を噛みしめ、ある人物の生き様に痺れ泣く。物語の大筋は掴めるが、山場の細部は瞬時には理解がおぼつかない難解映像の連続。だが、ともすれば間抜けな画になりかねない逆>>続きを読む

チィファの手紙(2018年製作の映画)

1.0

物語の主軸で、男も女も大人も子供も、主要人物のやっていること尽く質が悪い。倫理感欠く行動の端々に何の躊躇いもないのなら、それを捻じ伏せる力強い描写が欲しい…リアリティの破綻に寒々。これで美しい恋愛話>>続きを読む

ソン・ランの響き(2018年製作の映画)

5.0

全く違う世界に生きながら共有できるものを持ちあわせたユンとリン・フン。二人の男がお互いの何処に惹かれ合っていくのか、抑え目ながら良く描写されていた。ユンの希求と哀しみが胸に滲みるだけに、この着地は深>>続きを読む

クスクス粒の秘密(2007年製作の映画)

5.0

母親の恋人を一心にサポートする娘リムの強さ健気さに胸打たれた。排斥を受ける中、日々奮闘し生きる移民達の支えは、行政でも永年勤めた職場の関係でも血のつながりでもない。それを如実に物語る山場のパフォーマ>>続きを読む

トランス・ワールド(2011年製作の映画)

4.0

吸引力ある作品の大部分をなすパートは、サマンサあるいは彼女に近い人物からの視点に沿って描写されていくために、最後のオチがインパクトを持つ…視点の妙味。オチばれにならぬ程度に小道具同様、対話や衣装など>>続きを読む

恐竜が教えてくれたこと(2019年製作の映画)

5.0

邦題にある“恐竜”が意味する存在を考える。身近な人や自身も亡くなる“死”の恐怖を意識した少年が、生の時を大切に行動するようになる…そんな成長が眩い。明朗快活な父親を持つサムだからこそテスの切実さが分>>続きを読む

ウスタード・ホテル(2012年製作の映画)

3.0

家庭慣習、修行、恋愛、経営、貢献美談…とビリヤニ宜しく様々な具材が盛り込まれ、エンタメ的にはまずまず飽きさせない。だが結局はそのどれにも振り切れてない。放ったらかしにされたEpが方々に山積され、一貫>>続きを読む

映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者(2020年製作の映画)

4.0

出処が出処なだけに“勇者”たちのキャラクターが愛おしくも情けないが、夫々に見せ場があり胸を熱くさせる。随所に張られた宮崎アニメのパロディ。あの歌&踊りには大爆笑。現代的に纒めた着地はもっと踏み込んで>>続きを読む

ミッドウェイ(2019年製作の映画)

4.0

豪華キャスト勢が嬉しい。空母艦を狙う戦闘機からの眺めは迫力があり恐いほど…大画面大音量似合う作品。ドラマ要素は薄いが、それだけ戦意高揚と戦争への理由こじ付けの匂いも薄い。復讐に復讐を返す構図と日米軍>>続きを読む

セルジオ: 世界を救うために戦った男(2019年製作の映画)

4.0

国連人権高等弁務官だったセルジオ・ヴィエイラ・デ・メロの偉業を辿る社会派ドラマというより、恋にも生きた生身の男の人間ドラマ的。アナ・デ・アルマス演じる経済担当国連職員カロリーナ・ラリエラとの恋愛パー>>続きを読む

人数の町(2020年製作の映画)

4.0

日本の現代にも潜む、当たらずとも遠からずな闇の仕掛けを仄かしたディストピア設定には大いに感心。ただし細部は少々雑で整合性が取れてなかったり、無駄な小ネタが勢いを削いでいたり、着地が想定内…と本当に惜>>続きを読む

ブラ! ブラ! ブラ! 胸いっぱいの愛を/ブラ物語(2018年製作の映画)

4.0

ブラジャーの持ち主探しをする引退鉄道運転士。ミキ・マノイロビッチ&ドニ・ラヴァンが無声ユーモアに嵌る。次々に女性たちにブラ当てを試みて回る画が艶っぽく愉快。家のある山麓と線路沿い迫る住宅街の景観、V>>続きを読む

スピリッツ・オブ・ジ・エア(1988年製作の映画)

3.0

シンプルな物語。でも荒凉とした広い砂漠に配されたアイテムの成す景観が逆に兄妹たちの閉塞感を感じさせたり、自作飛行機やメイク・衣装にも作り込みと拘りが窺えたり、で映像力強い。特に今にも崩れそうな骨組み>>続きを読む

もう終わりにしよう。(2020年製作の映画)

5.0

いよいよ男との関係を切ろうと考えている女性の思考を辿っているかの様な視点が悩ましい。会話や映像に散りばめられた端緒から侘しい物語の構造を推測し、シュールな終盤の意味を考える…解釈は見る人に依りそう。>>続きを読む

ワイルド・ローズ(2018年製作の映画)

5.0

力強い歌声と擦れた風体演技の両方がJ・バックリーの魅力で素晴らしい。どんなに愛しい我が子でも夢の前では足枷になってしまう辛い現実が滲みた。アーティストとしても人としても成長した飛躍のラスト、母マリオ>>続きを読む

アルプススタンドのはしの方(2020年製作の映画)

4.0

高校生活3年間の総括をする端っこ組たちの胸中を汲みつつ、センター組からの仕掛けにも心を砕く…割と青春直球勝負。優れた脚本に拍手。ただ、原作の演劇への敬意は分かるが、場面の限られた映像閉塞感が結構辛か>>続きを読む

シティ・オブ・ゴッド(2002年製作の映画)

5.0

ブラジルのスラム街“神の街”の荒み切った実態。銃を手に大人たちに仕掛ける子供ギャングたち。前後に行き来する時間軸や、動きの激しいカメラワークと短いカットで、凄惨な殺し合いをドライに演出。最後の怒涛の>>続きを読む

インセプション(2010年製作の映画)

5.0

夢の時間経過速度などSF的設定の綿密さとその活用に唸らされるのは勿論だが、狂おしいまでに切ない夫婦愛のドラマとしても描き切れている驚くべき完成度の高さ。ディカプリオを挟みM.コティヤールに対してE.>>続きを読む

マグダレンの祈り(2002年製作の映画)

3.0

修道院が家族の厄介者女子の隔離場所になっていたアイルランドの実態。女性が男性に虐げられている時代背景を強く窺わせる。弱い女性たちが、同じ女性である修道女らに苛められる構図が生々しい。実話ベースの為か>>続きを読む

はちどり(2018年製作の映画)

4.0

原題“벌새”より英題の方が馴染む。歪んだまま均衡保つ家族内関係を穏やかに炙り出す。家族の外にある、少女にとって光明に見えた救いの存在は儚く刹那的ですぐに褪せたり消えたりしていく。そんな中で深く強い結>>続きを読む

コリーニ事件(2019年製作の映画)

5.0

過去に大罪を犯した者が全く裁かれぬどころか現代で権力を得たり、のさばったりしている不条理はこの国も一緒か。公正であるべき法の姿を正す新米弁護士が私情や縁故への情に流されずに正義を貫き清々しい。真相の>>続きを読む

マーシャル 法廷を変えた男(2017年製作の映画)

5.0

黒人差別廃絶の為に裁判を渡り歩くアフリカ系弁護士の奮闘。判事が差別主義者というハンディある法廷内、だからこそ一層彼の優秀さが際立つ。凛々しい表情から甘い微笑までC.ボーズマンの魅力がギュッと詰まった>>続きを読む

ロニートとエスティ 彼女たちの選択(2017年製作の映画)

5.0

かつてのロニートの選択、エスティの選択。それぞれが選んだ道程は再び交差し、再度の選択を迫る。今度は“彼女たち”互いが作用を及ぼし合った選択でもあり清々しい。特にエスティの心の動きが見応えあった。過去>>続きを読む

プロジェクト・パワー(2020年製作の映画)

4.0

J.フォックス&J.G=レヴィットのコンビが引きつける。ドミニク・フィッシュバック演じるロビンがチャーミングで、彼女を挟んだ2人の男との絆は味のあるドラマで魅力。説明されぬ“X-MEN”的ピルの詳細>>続きを読む

冬時間のパリ(2018年製作の映画)

3.0

編集者、作家、女優、政治家秘書ら…文化人たる熟年男女たちは夫婦であり友人であり浮気相手ですらある。夫々が迎えるクライシス、会話の妙とユーモア、J.ビノシュ、G.カネ、V.マケーニュら仏名俳優の演技力>>続きを読む

2分の1の魔法(2020年製作の映画)

5.0

吹替版。ヘタレな弟イアンとは対照的な兄バーリー…ちょっとイカれてる様に見えてはいたが、弟より寧ろ彼の優しさや逞しさに触れ物語に引き込まれていく。魔法と父親復活の為の冒険アドベンチャーにして、この変化>>続きを読む

ダンサー そして私たちは踊った(2019年製作の映画)

5.0

ジョージア国立舞踊団員たちのドラマ…LGBT作品。依然男らしさが求められるジョージアの伝統と保守的社会を垣間見た。青年メラブが自分の性的嗜好とともに、自身の舞踏のアイデンティティにも目覚めていく山場>>続きを読む

だれもが愛しいチャンピオン(2018年製作の映画)

4.0

知的障碍者チームのコーチを引き受けたことが、マルコ自身、心理的な障害を乗り越えることに通じていく胸熱展開がニクい。個性的なメンバ達が繰り出すネタに笑っていいものやら始終戸惑いつつも、障碍者自ら演じて>>続きを読む

暗数殺人(2018年製作の映画)

4.0

テオの証言は全て真実なのか虚偽なのか、あるいは真偽入り混じったものなのか、刑事キムを振り回すその狡猾な企みの全貌が次第に露わになっていくスリリングな展開。チュ・ジフンの怪演が新鮮。緩急の差の激しい演>>続きを読む

ウォリアー・ゲート 時空を超えた騎士(2016年製作の映画)

3.0

L.ベッソン製作・脚本。ゲーム中では勇敢な戦士だが実生活ではヘタレな少年が、タイムスリップした世界で勇者へと成長していくジュベナイル・アドベンチャー。王道展開は良いがアクションのカットが緩く登場人物>>続きを読む

シモーヌ(2002年製作の映画)

4.0

CG製バーチャル女優が相手になっても、リアルな映画監督と俳優との関係性は変わらず再現される悲哀…ドラマ寄りのSF。アル・パチーノのコミカルな演技が笑いを誘う。雲行き怪しい山場からの着地が清々しくて良>>続きを読む

ミーン・ガールズ(2004年製作の映画)

5.0

大親友と大キライは紙一重という、女子高生達の生々しいグルーピング・ネタに大笑いしつつも、復讐を期した主人公ケイディの変容がなかなか考えさせる展開の学園コメディ。R.マクアダムスのビッチ演技もA.サイ>>続きを読む

ムーンライト・マイル(2002年製作の映画)

3.0

どうすれば亡くなった者が喜んでくれるのか…残された者が原点に立ち返るまでの描写が物足りない。優しさだとは思うがジェイク演じる青年ジョーのウジウジに全く心が動かず、演技派D.ホフマンとS.サランドン夫>>続きを読む

ラブバード(2020年製作の映画)

4.0

クセ顔クメイル・ナンジアニが作る男ジブランの憎めぬ口調と、それでも優しさが漏れてしまう女レイラニの魅力。破局を迎える二人の会話に、かつては惹かれ合った筈のノリの軽妙さが混じる演出も味があって素敵。チ>>続きを読む

ダブル・サスペクツ/ルーベ、嘆きの光(2019年製作の映画)

4.0

女性二人の哀しく歪な関係を暴き出していく取り調べの様子は、L.セドゥーとS.フォレスティエの引き込む演技と、現実離れだが効果的な場面演出もあり見応え存分。故郷の惨状を織り込みたい監督の意図は分かるが>>続きを読む

ジョアン・ジルベルトを探して(2018年製作の映画)

3.0

隠遁した“ボサノバの神様”を探し歩いたドイツ人ジャーナリストの足跡を辿ることで彼の人柄を垣間見る、といった混み入ったドキュメンタリー。随所で聴けるジョビンの名曲は心地よいが、取り次ぐつもりもないのに>>続きを読む

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