いち麦さんの映画レビュー・感想・評価

いち麦

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バーナデット ママは行方不明(2019年製作の映画)

5.0

日常的な生活における人付き合いに潰されていくバーナデットと南極へと動き出すバーナデットの姿は余りにも対照的だが、その両方を見てこれは…と彼女の真の姿や現在の状態がよくわかった。娘ビーが母親のことを心>>続きを読む

エクソシスト/ディレクターズ・カット版(2000年製作の映画)

4.0

前回のフィルム上映による劇場鑑賞からほぼ9年ぶり。デミアン・カラス神父の人間臭さがとても良い味わいだったと改めて実感。
ただ、神父が投げかける聖書の言葉で憑いた悪魔が余りに素直に苦しむ様子を見て、
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コンフィデンシャル:国際共助捜査(2021年製作の映画)

4.0

南北朝鮮のあの刑事コンビ再び。ちょっとオジさん度が高くなっちゃったけどやっぱりヒョンビンの魅力がいっぱい詰まっていて良い。今作では更にもう一人FBI捜査官のイケメンが加わり腹の探り合いと恋の三つ巴。>>続きを読む

ザッハトルテ(2022年製作の映画)

5.0

ラブコメとしての王道展開は予想されるが、場面場面で細かな成り行きを楽しく想像。ウィーン版「恋しくて」だね、これは。とにかくミリアムがとても魅力的に描かれていて、カールの心変わりは至極納得できたのが良>>続きを読む

ハウス・バウンド(2014年製作の映画)

5.0

「M3GAN ミーガン」のジェラルド・ジョンストン監督の長編第1作ということで鑑賞。今作は全く別の方向性だろうけど脚本が上手くて期待以上に楽しめた。
すぐに怒り出す性格や母親との確執など不良娘カイ
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アラビアンナイト 三千年の願い(2022年製作の映画)

4.0

ジョージ・ミラー監督作品。物語研究者アリシアと3つの願いを叶えようと申し出るジン(魔人)との間の駆け引きのようなやり取り。次第にアリシアの核心へと近づいていく感触。性愛を知り尽くすジン(魔人)の体験>>続きを読む

グランツーリスモ(2023年製作の映画)

5.0

ドライビング・ゲームだけで鍛え上げたシム・レーサーが本物のレーサーへと生まれ変わっていく一勝負一勝負を固唾を飲んで見守る。見やすく迫力ある映像でアドレナリン分泌が過多になっていくのが自分でも分かるワ>>続きを読む

シャイロックの子供たち(2023年製作の映画)

5.0

原作小説未読。TVドラマ版未見。緻密に組み上げられた脚本に感心。最後まで引き込まれてしまった。物語の真相を窺わせる伏線として、銀行内部の実態に「こんなのあり得ない!」と「こんなことまでするのか?」が>>続きを読む

#マンホール(2023年製作の映画)

4.0

マンホールの底へ落ちて怪我を負い、救援を求めて藁にも縋りたい筈なのに、高圧的な口調のまま太々しい態度の男。普通なら憐れみを誘い応援したくなる状況が逆に全く共感できないほどのクソっぷり。まるでノワール>>続きを読む

ビハインド・ザ・ドア 誘拐(2020年製作の映画)

5.0

オーソドックスな展開の監禁ものスリラーだが、少年2人の友情を底流に、監禁された1人を救出しようと奮闘するもう1人の少年の目線で恐怖が辿られる。更にここでバラしてしまうと大いに興を削がれるネタもあり、>>続きを読む

呪われた息子の母 ローラ(2021年製作の映画)

3.0

吸引力のある展開で細部まで目が離せなかった。果たしてそれは母親の妄想なのか真実なのか?妄想よりも真実の方が悍ましかった…入り口はスリラー風味だが紛いなきホラー。少年デイヴィッドが苦しむ奇病の症状あれ>>続きを読む

ゾンビ・サステナブル(2021年製作の映画)

3.0

「ゾンビマックス! 怒りのデス・ゾンビ」まさかの続編。バリー&ブルック兄妹の事情やその他このシリーズ独特な数々の設定は本作では一切説明されてないので前作の鑑賞が必須かと。原題中の「ウィムウッド」の謂>>続きを読む

ケロッグ博士(1994年製作の映画)

4.0

コーンフレーク発明のエピソードかと思っていたら全く違っていた。ケロッグ博士持論の菜食・禁欲健康法を実践するトンデモ療養施設に纏わるドタバタ・コメディ。狂信的な妻に連れられ入所した夫婦再生の物語を通し>>続きを読む

オスカー・ピーターソン:ジャズ界の革命児(2020年製作の映画)

3.0

超絶技巧ジャズピアニストの半生。右手ではブロックを押さえず殆どシングル・トーンの速弾きが特徴&持ち味なので、自分の好みとは少しズレる。あのアグレッシブさはある意味、前ノリの為でもあったのかと興味深か>>続きを読む

ホーンテッドマンション(2023年製作の映画)

4.0

全く怖くはないしアッと驚く展開が待っている訳でもないが、一つの呪われた旧館を舞台に、ある母子と会したパラノーマル研究者、神父、霊媒師、歴史学者たちが次第に心を通わせ合い、皆で協力し合ってゴーストと対>>続きを読む

丘の上の本屋さん(2021年製作の映画)

4.0

古本屋店主リベロが今や本ではなく遠い昔の見ず知らずの女性が書き捨てた日記を読むのを密かな楽しみにしている様子が目を引いた。日記の中で語られる男女の物語とニコラ&キアラの物語が何処となく重なっていく演>>続きを読む

ニューヨーク 親切なロシア料理店(2019年製作の映画)

5.0

困っている人に手を差し伸べ助けようとする人もまた弱い立場の者たちなのだなぁと実感。赦しの会では弱者同士でなお傷付け合い続ける真逆の現実もさり気なく覗かせていた。ゾーイ・カザンの魅力に依る処大だし確か>>続きを読む

JOLT ジョルト(2021年製作の映画)

3.0

アクションだけでなく一応サスペンス的なオチがあるストーリーでまぁ良かった。条件づけのためかネガティブ・フィードバックを与えるスイッチを自ら押す彼女の行動療法が妙で頭を抱えながらもある意味興味深かった>>続きを読む

バーン・アフター・リーディング(2008年製作の映画)

4.0

再鑑賞。初見のときよりは楽しめた。本来なら繋がらない筈の人間たちの込み入った関係と連鎖が妙味な脚本。個性派・実力派の俳優勢競演で安定感も凄くイイ。でも殆ど爽快感がないのが惜しい。それに破綻した夫婦ば>>続きを読む

未来は今(1994年製作の映画)

5.0

再鑑賞。コーエン兄弟のフィルモグラフィーの中では異色だと思うし、そのためか巷での評価は今一つだが大好きな作品。フラフープ誕生の物語を題材としているものの完全なフィクションで寧ろ人間ドラマの味が濃い。>>続きを読む

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

5.0

初見。劇場で見られてとても嬉しい。これも「午前十時の映画祭」のお陰。
姉イサベルが現実的な成長をしていくのとは対照的に妹アナは次第に精神世界との結び付きを深めていく…そんな物語のように感じた。その
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スクール・オブ・ロック(2003年製作の映画)

4.0

久しぶりに再鑑賞。J.ブラックのむさ苦しいまでの熱量がやや空回りしてる様が笑い処のコメディ。生徒がまだ冷めている前半は見ていて結構辛いが、彼の正体がバレてしまい生徒たちが自分の意志で演奏をし始める終>>続きを読む

ビバリウム(2019年製作の映画)

4.0

タイトルの意味する“動植物飼養場”が誰目線かを考えるとゾッとする。自然の生態系を模した環境とは正反対に無機的で均質な冷たい世界で繰り広げられる悍ましい展開。Op.がそのまま明喩になっていて、さらに映>>続きを読む

小さい魔女とワルプルギスの夜(2018年製作の映画)

4.0

大きい魔女たちに一年間で7892個の魔法を覚え「良い魔女」になる宿題を課された小さい魔女の成長譚。大きい、小さい…はこの映画では体格というより寧ろ年齢。自分の属する組織や社会の悪しき慣習に捉われず自>>続きを読む

MEG ザ・モンスターズ2(2023年製作の映画)

4.0

Op. で流れるあの人気曲は心を歌ったというより単なる“water pressure”に掛けてのギャグに聴こえて早々吹いてしまった。流石に2作目でメガロドンだけでは引っ張れないとみたか他のクリーチャ>>続きを読む

アウシュヴィッツの生還者(2021年製作の映画)

5.0

主人公ハリー・ハフトがアウシュビッツを生き延びるための壮絶なエピソードの数々…実話ベースとのことで衝撃を受けた。彼が戦後を生きていく拘りにも当然そのときの体験が深く影を落としている。ボクシング・ファ>>続きを読む

クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男(2019年製作の映画)

3.0

副題「映画に愛された男」というよりは「映画に取り憑かれた男」の印象を一層強くした。彼の作品がクオリティ高いのは理解しているつもり。でも自分はファンでも信奉者でもない。物語の外側やさり気ない演出で自身>>続きを読む

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

5.0

大好きなR.オストルンド監督作品。相変わらず自然な会話で人間の醜悪な本質を曝け出していく脚本が素晴らしい。
相手より優位に立ちたいという人間のエゲツない欲求を様々な形で次から次へと見せつけられ不快
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紙の月(2014年製作の映画)

5.0

可愛らしさと計り知れぬ大胆さを合わせた様な梨花は正に宮沢りえにピッタリの役と感じた。映像演出と劇伴が見事でまるで鳴り響く鼓動のような緊張感。クライマックスも敢えて犯罪のドロドロとした穢らわしさを削い>>続きを読む

インスペクション ここで生きる(2022年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

ゲイの青年フレンチがなぜ海兵隊を志し、過酷過ぎる環境のもと厳しい訓練に耐えていったのかがよく伝わってきた。無理解の母親には性的マイノリティを絶対に許容しない多くの人たちの姿が重なり深い断絶感すら感じ>>続きを読む

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

12歳少年2人の間で互いの感情が行き違う。レオの視点中心に物語が展開。レオが取った行動の理由はよくわかったし、レイの熱い想いも窺えた。でもレイに対するレオの本当の心情…友情か愛かは見る者に委ねられて>>続きを読む

キアラ(2022年製作の映画)

3.0

(イタリア映画祭2023)
カトリック教会の内部に宿る男尊女卑、階層的支配構造、俗物性…こういった教会組織の嫌らしさをチクリ、チクリと露出させながら、それらに敢然と対決するキアラの凛とした逞しさ
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バービー(2023年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

字幕版と吹替版の両方を鑑賞。ピンクを基調にしたカラフルなバービーランドの造形は正しくオモチャの国そのもの。クスッと笑えるシーン多数。でも繰り広げられるドラマはとてもシリアスで強いテーマを認めた大人向>>続きを読む

ブラフマーストラ(2022年製作の映画)

2.0

何だかボリウッド版アベンジャーズやX-MENシリーズを見てる気分だった。インド映画には珍しい女性ヴィランの登場や壮大な父母対決の歴史は新鮮。シャー・ルク・カーンの出演も嬉しかった。
青年シヴァのパ
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ハンサン ―龍の出現―(2022年製作の映画)

4.0

豊臣秀吉の命で日本が朝鮮侵攻した「文禄の役」閑山島海戦を描く韓国映画。同じ監督による前作「バトル・オーシャン 海上決戦」よりも時代的には5年ほど前に遡る。前作同様、日本軍武将らの台詞は韓国俳優の日本>>続きを読む

バトル・オーシャン 海上決戦(2014年製作の映画)

3.0

豊臣秀吉の命で日本が朝鮮侵攻した「慶長の役」鳴梁海戦を描く韓国映画。韓国の人たちが秀吉の朝鮮出兵をどう捉えているのか窺えた。圧倒的な兵力を持つ日本軍船団に対して僅か12隻で潮流の知識を活かして善戦し>>続きを読む

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