Angiii

イル・ポスティーノのAngiiiのレビュー・感想・評価

イル・ポスティーノ(1994年製作の映画)
5.0
とある文芸誌の何月号か忘れたが編集者によるあとがきに、「詩は説明しすぎてはいけない」という旨の文言を見かけた。それほど言葉と感情の秘めし力は繊細かつ強大なのであろうと感じた。

本作に登場する愛とそれから生まれた何かに戸惑う男、詩の本質とはそういうものだと教えられ、不器用ながらにも美しき言葉を紡いでいく。有無を言わぬ波潮の満ち引きにイタリア娘の情熱を見出すような力とその過程の美しさ、それこそが言葉及び文学の魂であり、我々が何故文学というものに傾倒するのか、その理由の一部が垣間見える。この人間の本能的な文学への欲求は今でもイタリアの太陽の如く私の心に灯り、過ぎゆく時と人と事によってさらに煌いていくだろう。
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