せいけ

LOVE LIFEのせいけのネタバレレビュー・内容・結末

LOVE LIFE(2022年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

深田晃司の真骨頂的な作品
それでいて展開の衝撃具合は過去作のほうがあると感じる人は多そう
家族というコミニュティへの侵入者によって化けの皮が剥がされていくような展開が多い深田晃司の作品
いい意味で意地の悪いストーリーテリングによって観客に居心地の悪さを与えていたが、今作はその要素が薄まったことで作家として次のステージへ進んだと感じた
思いの外自分の発言に対して撤回できる登場人物
あからさまに物語をかき乱す存在はこれまでの作品と比べるとかなり少ない
不穏な空気は流れるが完全に関係が切れきっているわけではなくなんとか譲歩して理解しようとしている姿勢は垣間見える
それでも分かり合えないのが人間同士
自分自身のわからなさから他者のわからなさを描くことでこれまでより射程が広くなった
コミニュケーションの希薄さと濃密さ、そこから生まれる絶望と希望とははっきり言い切れない淡い境界線
好みは分かれるかもしれないけど、観客の存在を放置したようなあのラストの長回し
すぐ言葉にしづらい宙に浮いたような感覚
最高傑作とすぐ判別はつかないけれど深田晃司の中でもかなり好きな作品となった