ぶみ

LOVE LIFEのぶみのレビュー・感想・評価

LOVE LIFE(2022年製作の映画)
4.0
痛かった、全部。

矢野顕子の同名楽曲をモチーフとした、深田晃司監督、脚本、木村文乃主演によるドラマ。
ある日突然悲しい出来事に襲われた夫婦の姿を描く。
ホームレス支援のNPO団体で働く主人公、妙子を木村、妙子の再婚相手で市役所の生活保護部局で働く夫、二郎を永山絢斗、二郎の両親を田口トモロヲ、神野三鈴が演じているほか、山崎紘菜、砂田アトム等が登場。
物語は、再婚し、二郎の連れ子とともにしあわせな日々を暮らす夫婦に、突如起きた出来事により生活が一変、歯車が狂っていく様が描かれていくが、これがまあ絵面に派手さはないものの、夫婦のそれぞれの思いがこれでもかと交差していき、全く着地点が見えない展開となっており、これがもし自分だったらと思うと、背筋がゾクっとするもの。
また、夫婦が住む団地の向かいの棟には二郎の両親が住んでおり、その距離感といい、団地独特の閉塞感といい、これまた居心地が良いのか悪いのかわからない微妙な感じが堪らないし、何気にある長回しも効果的。
妙子の元夫は、ろう者である設定なのだが、彼を演じた砂田自身がろう者であったり、森崎ウィンが声のみの出演であったりするのも見逃せないポイント。
妙子、二郎、二郎の両親、妙子の元夫と、いずれも観ていて、そりゃないよ、と言いたくなる行動を取るのだが、それがあまりにも自然であるとともに、理解できないことはない範疇に収まっているため、リアリティ溢れるものとなっており、夫婦とは、そして人生の選択とは、と言った巻き戻しのできない選択肢を考えさせられる良作。

何からですか、守るって。

※仕事が休みだったため、先週金曜日に観に行ったところ、映写機の不調により、序盤のハイライトの辺りで上映打ち切りに。
あらためて日曜日に再チャレンジしたため、何だか二度観たような気分になり、お得でした!
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