酩酊石打刑

LOVE LIFEの酩酊石打刑のレビュー・感想・評価

LOVE LIFE(2022年製作の映画)
3.5
深田晃司の作品世界は何とも厄介だ。世界の枠組みや時間軸が歪みだし、観る者を不安にさせる。
今作の主舞台の一つである団地の部屋には、ベランダの物干し竿に吊るしたCDなどのかすかな反射光や、窓に映った隣の団地の明かりなどが溢れている。それは過去の記憶やあやふやな存在の揺らめきのようだ。
妙子の元夫のパクは、『本気のしるし』の浮世や『よこがお』の市子『淵に立つ』の八坂のような、深田作品におなじみのなんだか訳のわからない存在だ。言語、概念化されたコミュニケーションではなく目を見て繋がっていくことが必要な人。
〈法の奴隷〉〈言葉の自動機械〉〈損得マシーン〉とは真逆の世界観が支配する社会が展開されている。