とも

かがみの孤城のとものレビュー・感想・評価

かがみの孤城(2022年製作の映画)
2.0
・寄り添って話を聞いてくれるフリースクールの先生
・状況を理解し、様々な選択肢を本人に任せる姿勢でいてくれる親
・自分の味方として、視野を広げてくれる賢い親友
・似たような境遇だからこそ、心の底から理解し合えるような友達に囲まれる環境(そして協力して取り組むべき課題ミッションをもつ)
・状況を全く理解できていない担任に対して自分の思いをぶちまけられる本人の強さ

うーん、実際に同様な問題を抱えてる子からしたら、こころって非常に恵まれた環境(鏡の中も現実も含め)にあるって思っちゃうんだよなぁ、もちろん真田さんは酷いです。大人から見たら、不登校の子たちへの関わりってこういう環境が大切よねぇってなるかもしれないけれど、当事者たちからしたらどうなんだろう。夢や希望を与えるものなのだろうか。
突然、「進路決めた、定時制の高校に進学…私立に転校…海外留学…」なーんて、いいなぁ羨ましいなぁ。とか思わないのかしら、変に苦しめないかしら。いくら待っても家の鏡はパラレルワールドには繋がらない。

あと、もう狼を死のメタファーとして認知するのどうにかならんのかね。むかーしむかしの話は仕方のないことだけれども、もしもオオカミ子どもが見たら泣いちゃうよ、可哀想に。「オオカミ子どものアメとユキ」で大きく変わった狼へのイメージ、すごい意味があったと思うけどな。設定として活用するのは良いと思います。ただ、人を丸呑みにして殺していくオオカミを、物理的に狼として描く必要があるのでしょうか。狼って卑怯で怖い…いやそんなことない、素敵な動物だ。人間のせいで日本の狼は絶滅したんだ!

あと、アキの死にもっとみんなで向き合ってほしかったなーと思いました。アキは現実世界に戻るのが怖くて、自分でルールを破って死ににいった、まぁつまり自殺する道を選んでしまったわけで、それって子どもたちが向き合うべきことだったと思うんだよね。道連れにされる設定は、1人が扉を開けてしまったらみーんな食べられちゃった童話からきているんだろうけど、アキの自死を目の前にして、葛藤する姿をもっと描いて欲しかった。あまりにも突然すぎて、そしてそのまま終わってしまった。

もう少し意味のある映画に、なりそうで、なってない気がして、残念!
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