単刀直入にいえば人間のシビアな部分に触れていて面白かった。後でこの作品について調べてみると、なんと小生の大好きな小説「傲慢と善良」を描かれた辻村深月様の作品かい!と納得。そりゃ面白いわ。
ちょっと泣けるし笑いもあるし共感できる部分もあるし、思春期にありがちの悩みというのは誰しもが通るもの。まあいわゆる7人の「不登校」中学1-3年が異世界を通して成長するお話。こういった部分にフォーカスする作品はありそうでなかなかないもの。特にアニメ映画で。
本作で伝えたかったメッセージが、いじめなどで学校に居場所がなくなってしまっても、ほかに居場所を見つけることはできるということです。
映画「正欲」でもあったけれど、自分の息子が学校に行かなくなって「YouTubeが居場所になる」というシチュエーションも全然ありえるものだ。それに対してなかなか理解ができなかった父親もいるけど、それも多様化の社会である。
主人公であるこころや他6名の生徒は様々な理由から、学校に居場所がなくなっていたけれど、城という異世界に集まり、同年代の仲間たちと過ごすうち、そこが大切な居場所になっていく。心に傷を持つ子どもたちの描写は非常に繊細で、自分は不登校ではなかったけれど見ていてその子たちの気持ちが分かってしまった。
たとえ不登校でグレようが、その異世界においてもどんな困難にぶち当たっても、ひとりで悩む必要はなく、周囲に助けてくれる人は必ずいるというメッセージも込められていて、自分が思春期のときに嫌なことがあったときに見たかったなと思った。
ストーリーの流れも良く、原作未読でも楽しめるので、特に小中学生に観てほしい。