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教育と愛国のakiakaneのレビュー・感想・評価

教育と愛国(2022年製作の映画)
4.4
BGMや照明、取材対象に厳しい質問で動揺を誘う、といった「画」ではなく、国会や記者会見、静かなインタビューという「事実」の積み重ねで作られた丁寧で堅気なドキュメンタリー。
最初は切り込みがやや弱いかと思ったが、「読んだというか、見たという程度…」とごまかそうとする“ある人”に「表紙を?」とすかさず畳みかける。このシーンの他にも久米宏さんのコメント通り、製作陣の埋め火のように静かな、しかし激しい「怒り」を端々に感じる。

2001年から徐々に徐々に進んでいく教育への権力の介入。大日本帝国の怨念と亡霊がじわじわと迫り来る不気味さと不穏さは完全にホラー。これが現実で起きているということが更にホラー。
恥ずかしながら学術会議問題が起こるまで一つひとつの変更や介入は「大したことない」「まあそれくらいなら」と思っていた一人だが、それが20年積み重なるとここまで来てしまうとは。
『アウシュビッツは急に空から降ってこない』という言葉を思い出した。

余談:監督へのインタビュー、大学教授や評論家の寄稿文、本編内容全文(ナレーションもインタビューも!)が文字びっしりで掲載された内容の濃いパンフレットが38頁1000円と破格。
あと斉加監督が5/13(金)のTBSラジオ「アシタノカレッジ」のゲストで本作の話をしているのでおススメ。(YouTubeで聞けます)
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