ギャス

ゲキ×シネ「狐晴明九尾狩」のギャスのレビュー・感想・評価

3.6
面白かった!お見事。
完全に映画として成立していた。
カットバックや過去映像がうまく構成されていて、これが舞台として進行しているままに映画になっているとはとても思えないほど。
元々の舞台の場面構成やタイミングや配置が計算し尽くされているからこそ。

ストーリーは単純明快なエンタメでもあり、
巧みに計算が張り巡らされた頭脳戦でもあり、
振り返ると多数の伏線がしっかり回収されている緻密さ。
相手を愛し知り尽くしているからこそ、倒すことができる(倒されることができる)という後味の切なさは、中嶋かずきの紡ぐ独特の心えぐる物語性が存分に発揮されていて切なさと共に深みもある。
そしていのうえの演出は、劇団員も客演も最大限に動かし笑わせ輝かせ、
安心と信頼とおふざけと感動の新感線テイスト。
中村倫也はVamp Bamboo Burnの時の役幅の広さと器用さに驚かされたが、今回は役の理解の深さと優雅な動きが洗練された印象。いずれにせよ舞台でとても華のある役者だ。
向井理は変化を楽しませる表現力が素晴らしかった。七変化と悪役としての啖呵に新鮮さが。
吉岡里帆は、その可愛さをあざとさとして使う最強の?シーンがあるが今回はそれよりも健気さや力強さが光っていた。

コロナのこともあり時間は少なめだったが、その他劇団員それぞれにも見せ場があり、
3時間があっという間だった。
ギャス

ギャス