やむちゃ

アニタのやむちゃのレビュー・感想・評価

アニタ(2021年製作の映画)
4.8
備忘録
2022.3.20 大阪アジアン映画祭で鑑賞(ABCホール)。

香港の歌手アニタ・ムイ(梅艷芳)の半生を描いた、大変素晴らしい作品だった。

実在の人物を描いた作品としては、音楽を扱っていることも含め、「ボヘミアン・ラプソディ」に並ぶと思う。
ラストが近づくにつれ、涙を堪えるのに苦労した。
香港好き、香港映画好きなのでなおさらだが、それを別にしても、良い作品だと思う。
当時の空気感なども大変良く再現されており、もう戻ることが出来ない「返還前の輝いていた香港が」スクリーンの中に蘇る。
香港映画らしからぬ(!)、役者さん達のおさえ気味の演技も素晴らしい。
実在の人物の単なるものまねではなく、しっかり人間性まで掘り下げて演じている。
コンサートのシーンなどは、実際の映像と新たに撮影した映像を織り交ぜて映し出されるが、アニタ・ムイ本人と、アニタを演ずるルイーズ・ウォンの姿に驚くほど違和感がない。

後日ディズニープラスでドラマ版(ディレクターズカット版)が配信されたが、そちらでは映画版で説明不足だったシーンが多く追加されている。しかしテンポが若干悪くなっている。
少し駆け足気味ではあるがテンポの良い映画版か、細かなエピソードを丁寧に描いているがテンポが悪いドラマ版か悩むところではあるが、個人的には映画版の方が観やすかった。

事実かどうかはわからないが、近藤真彦との恋愛エピソードで、東京のマッチの自宅で苦労して料理するシーンは、微笑ましすぎて涙が出そうになった。

劇場公開して多くの人に観てもらいたかったが叶わず残念。

※この映画を思い出すと、Gメン75のエンディングテーマ曲「面影」が無性に歌いたくなる。
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