若き日の夢を捨て、何の目標もなく王立宇宙軍に入隊したシロツグは、仲間たちと自堕落な日々を送っていたが、街角で宗教の教えを語るリイクニという少女に出会い、一念発起して宇宙飛行士を目指す。偶然、予算も付き有人飛行の計画が立ち上がる。30年間、何の実績も無かった宇宙軍が、初めての宇宙ロケットの打ち上げに向けて動き出す…というお話。
ガイナックスによる初のアニメーション映画。正直、主人公は魅力に乏しく感情移入できないキャラクターで、ヒロインも物語にほとんどからんでこない。ストーリーもロケットの打ち上げにフォーカスされてないので、何だか煮え切らない感じだ。しかし、それを補って余りあるのが作画と音楽である。人物は「うる星やつら」の作画監督のもりやまゆうじのカラーが色濃くて、くどい感じだが、綿密なメカの描写や華麗な空戦シーンは目を見張るものがある。また、東洋でも西洋でも中東でもない架空の国の世界観は完全なオリジナルで素晴らしい。坂本龍一らによる音楽は当時のアニメのBGMのレベルをはるかに超えた傑作である。
