キュラソー

線は、僕を描くのキュラソーのネタバレレビュー・内容・結末

線は、僕を描く(2022年製作の映画)
1.8

このレビューはネタバレを含みます

明確に苦手な映画だった。特に音楽の使い方。単純に音量が大きくてうるさいというのに留まらず、ストリングスや挿入歌によって、紙と筆とが擦れ合う音や妹の留守電の声をかき消してしまう節操のなさに唖然とする。また、撮影もよろしくない。フレーム内に収まるキャラクターがそれほど動いていないのにカメラばかりフラフラと動いてしまっている。そういう所はガチッとフィックスで見せてほしい。

風物を描く「水墨画」という題材があり、「椿」という名の、主人公にとっての今は亡き妹が居て、最終的に主人公は「椿」を「水墨画」として描く、という「発想」以上のことを映画として豊かに語れていない。挙句の果てに、椿を描くシーン、および、それによって主人公が新人賞を受け取るシーンは、これまでと似たようなカットの継ぎ接ぎによるダイジェスト的な処理で済ませてしまい、画面も題材も殺してしまう始末である。教え子2人の葛藤とその克服に主眼が置かれているのはわかるが、こうした細部の貧しさではそれも生きてはこないだろう。
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