Yuri

線は、僕を描くのYuriのレビュー・感想・評価

線は、僕を描く(2022年製作の映画)
5.0
原作未読です。冒頭の劇伴が「ちはやふる」っぽくて、同じキャスト(清原果那)も出てるし、同ジャンルなので音楽の系統変えて差別化を図った方が良いのでは?と思ったけど、中盤以降の追い上げが全部心に刺さって何だかんだで満点。「ちはやふる」もそうだけど、ワクワクするような驚きが用意されていて、全世代が楽しめるようなキャスティング配置、テーマになっている。今の水墨画作家さんってパフォーマンスありきなのかな?原作を読んでおらず、思い入れゼロなのに、霜介が家族のことを吐露するシーンで痛みが伝わってきて気づいたら涙が零れてた。小泉監督はアオハル的な必死さとか未熟ゆえの後悔とかをストレートに嫌味なく観客に届けるのがとても上手い。勿論、主演の横浜流星の演技力が格段に上がっているからというのもある。2022年は「流浪の月」も含め、彼にとってターニングポイントだったのでは?と勝手に思う。「3月のライオン」も大友監督ではなく小泉監督が撮っていたら、もっとワクワクしたエモーショナルなものになったかもと残念に思ってしまった。実力派が揃う中、細田佳央太だけが変な癖と演技力の足りなさで足を引っ張っていた。小泉作品は、青春王道ど真ん中でキラキラしてるけど、キラキラが雨音のように憂いと重みを帯びているから、ティーンじゃなくなった大人の心にもちゃんと沁みて、心地良く世界観に浸れるところが好き。最初に劇伴を指摘してしまったけれど、yamaの挿入歌「Lost」とトンネルを抜けていくシーンがとても良くて、観ている途中なのに、検索かけてしまった。それから、霜介が千瑛(清原果那)の椿を見て涙した理由が分かり号泣。はー、私にもまだ青春映画で泣ける心があって良かった(笑)庭の真ん中にある椿のツリー、明けてく朝日の温かさ、日本の身近な美しさが詰まっていて、水墨画×青春×最旬若手俳優の競演でモダンジャパニズムな世界観を発信出来ていたので、こういう作品を海外配給して欲しいなぁと思う。106分で綺麗にまとめているのも凄いし、NetFlixでいいから世界中の人に観てもらいたい。
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