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線は、僕を描くのペコのレビュー・感想・評価

線は、僕を描く(2022年製作の映画)
3.5
水墨画と出会った青年の葛藤と成長を描いた作品。水墨画について全くの無知な僕ですが、劇中で見れる墨の黒一色で描かれる迫力ある画とその表現力の高さに驚かされました。本番一発勝負の白い紙に筆を当てる職人技は見事。その水墨画の世界観を存分に楽しめるのかと期待していたのですが、水墨画よりも人間ドラマに重きを置いていたのが個人的には期待外れでした。霜介も千瑛も過去にトラウマであったり悩みを抱えて生きてきたのは分かるが、その過去の出来事であったり、そこからの立ち直りかた、賞レースに挑む作品作りなど、後半になるにつれて早送りのように展開が進んでいってしまったのが惜しいところ。感情移入できないまま終わってしまった印象です。展開としては王道。
水墨画のように自分の線を丁寧に描いていく霜介と千瑛の姿をゆっくり見たかったところ。でも水墨画も人生も、自分だけの線を描けるようになったら素敵だよね。水墨画って今まで全然触れてこなかったけど、この映画を観ると生でパフォーマンスを見てみたい!!
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