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非常宣言のkakakaのレビュー・感想・評価

非常宣言(2020年製作の映画)
4.0
バイオテロ+ハイジャック。
決してフレッシュなプロットではないが、コロナ禍を経験しているからこそ、余計に映画に没頭し、考えさせられる。
もし自分が機内に居合わせた被害者なら、あるいは被害者家族なら、またはハイジャック機を見つめる大衆の一人であればどうか。
感染を防ぐ為のロックダウンの記憶がまだ生々しく残っている今だからこそ、受け入れるのか、それとも拒絶するのかが、自分事のように感じられる。
本作が真摯なのは、映画としてのエンタメ性をギリギリ担保しつつ、その実、このような状況なった場合の選択に対して重きを置く、思考実験要素が強く打ち出されているところにある。合わせて、劇伴も非常に抑えられており、人々の表情、思考、希望、絶望にフォーカスしやすい作りにもなっている。
アメリカ、日本の非情な選択もリアルでいい。実際同様のことが起これば、どの国も同じ選択をするだろう、この残酷だが真実も描いているところにグッとくる。
そして極限状態で浮かび上がる「人間だから出来る選択をしよう」というセリフ。人の心ですね。美しいです。
どうしても映画の尺で終わらせるため、強引な解決にはなるが、例え科学的根拠を出そうとも、処理水の海洋放出に反対する国があるように、仮にエビデンスの無い治療薬で、本作のように解決出来るのか、実際問題はもっと根が深いと考えてしまう。
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