俊介

ザリガニの鳴くところの俊介のネタバレレビュー・内容・結末

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

最後の真相回収の仕方が衝撃だった。そして、テイトの最後のあの顔は名演技すぎた。

カイアはなぜあそこまで湿地にこだわるのか。家族は分裂し、孤独に生き、テイトとチェイスにも裏切られ、「湿地の娘」と街の人々には蔑まれ、そんな決していい思い出があったとはいえない湿地になぜこだわるのか。それはカイアにとって湿地は「友達」同然だったから。カイアはチェイスとやぐらから湿地の全貌を眺めた時、友達の横顔以外を見たのは初めてと口にした。そこで僕の中で謎だったことが回収され高揚した。きっとカイアにとって孤独に生きた湿地は、唯一心を許せる友達だったのだ。そんな自分に暴力を振るい、カイアの父同然となったチェイスは脅威になるため自らの手で殺した。おびえる暮らしはしたくないというセリフが物語っている。しかし、起訴され刑罰が下れば自分の居場所である湿地には戻れないため、カイアは嘘をつき釈放されるに至る。一見サイコパスに見えるカイアであるが、実はそうではないと思う。湿地での生活が生み出したものであり、人間らしさが見える。カイアは正しい選択をしたのだと思う。湿地にしか居場所はないのだから。
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