幼い頃に両親から置き去りにされ、一部を除いた町民たちから「湿地の娘」と蔑称されながら、大自然の中で孤独と共に生きるカイアにとって、自然界の掟が人生の道標になるのは当然のこと。
「自然に善悪は存在しない」
この一言が、あの結末を物語っている。
喜びも束の間……
本の間に隠されていたアレを見つけてしまった今、私はカイアに対する懐疑心が拭えないままでいる。
「死人に口無し」と言うように、カイアが一方的に、自分に都合の良い証言をしている可能性すら感じてしまった。
真相を知る由もないが、考えれば考えるほど、もがけばもがくほど、湿地の闇に足を取られ、奥底に感情が沈められていく。