もやし

ザリガニの鳴くところのもやしのレビュー・感想・評価

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)
4.2
何だろう、そもそもの第一印象としては設定が全然好みじゃなかった。

何で悪い噂になってると知っててわざわざ人里離れた湿地に住んでるの? そして何で学校にも何のコミュニティにも行かずに自分で自分を苦しめるようなことをするの? 何でそんなに頑なに湿地で暮らそうとするの?

でも何でそこにイライラするかって、俺がそうだからなんだよなと気付いた。
俺も発達障害所以からかはわからないけど、昔から新しいことが嫌いで、石橋を叩いて終わるタイプだった笑
今までの人生でおよそ挑戦と言われるものをしたのは数えるほどしかない。

まあそんな個人的な話は良いとして、見進めていくと別にこの映画リアリティがないかって言われたらそうでもないんだよなと気付く。
時代も古いし、湿地じゃなかったとしても実際こういうことはそう珍しいことでもなかったんだろうなと。
そしてこの映画は差別というテーマも多分に含まれてるんだということも伝わってくる。

あとは恋愛要素とサスペンス要素も加わって、とても興味深い話になっている。まあ深い映画ですね。


それにしてもやはり、本気で愛し合ってる恋人が外の世界に何度も誘うのに、頑なに自分の我を通して湿地に引き篭もろうとするのは何だかすごくイライラした。自分のことばっかりじゃん、って。

でもこれも見進めていくと間違っていたと気付く。
彼女は生まれたときから自然に囲まれていて、自然と共に生きるのが彼女の日常なのだ。日常を壊すというのは一種の暴力に近い。

自分が安心できる居場所での穏やかな生活ができたのを見たとき、感動の気持ちが湧き上がってきた。
彼女の努力、生き方がついに身を結んだのだ。

そしてまさかの衝撃のラスト。
どんな感情になればいいかわからなかったが、この映画、最後までやりおる。


てか見ててもののけ姫が浮かんでしょうがなかったよね笑
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